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“おもてなしの心”で患者と応対

 

佐賀医科大学附属病院

古賀 鈴子

 

はじめに

 

消化器外科病棟において急性期の患者の看護に携わる中で、がん再発により再入院を繰り返し、ターミナル期を迎える患者も少なくない。日々行っているケアを振り返り、講義での学びと結びつけて、緩和ケア病棟の役割・ケアの工夫を理解する。また、チーム医療の実際と問題解決の方法を理解するということを目標とし、2週間の緩和ケア病棟での実習で学んだことについて述べる。

 

六甲病院緩和ケア病棟における概要・理念について

 

<背景>

結核病棟を閉鎖するにあたり、院内病棟型ホスピスとして1996年10月3日にオープンした。

<スタッフの状況>

開設初年度は医師1名、看護婦10名で10床運営。2年目は医師2名、看護婦14名で16床運営。3年目に看護婦16名となり23床稼働。現在、実際の入院患者数は20名を上限としている。

非常勤のチャプレン、薬剤師、栄養士、MSW、精神科医師、40名あまりのボランティアに支えられている。

<看護体制>

プライマリーナーシング(アソシエートナースは1〜2名)

2交代制

<カンファレンス>

Death Case、症状コントロール、精神科、新患の情報提供、看護計画の見直しなど。

<行事・サービス>

花見、花火大会、クリスマス会など季節に合わせた催しを行う。患者の誕生日にはスタッフから歌、色紙を贈る。月1〜2回音楽会が実施され、希望により患者の作品展を行っている。

<遺族ケア>

弔電の発送、看取り後2か月・1年後の葉書発送、遺族会の開催。

<緩和ケア外来>

2回/週、一家族に対し30分枠で患者の情報を得る。緩和ケア病棟についての理解を確認しながら、システムなどを説明。

<在宅ケア>

医師、訪問看護婦の往診。

<ホスピスケアマニュアル>

病棟で作成、活用。チームアプローチ、コミュニケーションの方法、病名告知とスピリチュアルケア、症状コントロール、日常生活の援助、家族ケア、遺族ケアに関すること。

<理念>

人生の最も大切な“完成期”をその人らしく生きていただけるよう、また家族とゆっくり過ごしていただけるよう、1]症状コントロール、2]コミュニケーション、3]家族ケアを3本柱とし、ホスピスの語源である“あたたかいもてなし”を実践する病棟を目指す。

<病棟の構造>

・環境:ドアや壁は暖色系、木目調とし、暖かい雰囲気。照明は白熱灯を使用し、患者の顔色が悪く見えないよう配慮。カーテンやシーツもピンクなどの淡い色を使用。床は絨毯張り。部屋番号の他に花の名前をつけてあり、ドアの外には患者名は表記していない。

 

 

 

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