研修を終えて
一般病棟においても、人間を愛し、患者中心、全人的ケアは看護の基本である。ホスピスで行われている看護との違いは、どれだけ立ち止まって患者の目線で患者との開かれたコミュニケーションをとっているか。感性豊に共感しているか。家族も患者と同様にケアしているか、である。
神戸アドベンチスト病院の山形医師は『人間らしく死ぬということ』という本の中で、人間は生まれる時も人の手をかり、また死にゆく過程においても助けがいるのである。人間が苦しみ死んでいく医療の場だからこそ、一層愛と優しさ、思いやりのあるケアが必要である、と書かれている。私は、患者の前に立った時、何にもできない自分、無力の自分にどうすることもできない不安と腹立たしさを感じ、何時も後悔ばかりしている。
ホスピスに入院している患者を目の前にした時、死が目前にあることを知りながら生きている人達が、不安や孤独を感じず「自分を愛して、自分をわかってくれる人が側にいる」と思えることが大きなより所であることを学んだ。
個人を尊重し、傾聴的態度でその場に共にいること、自分の死生観、看護観を持ち、人間性を磨くことの大切さを病棟で分かち合い、常に学ぶ態度を持ち続けたい。