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緩和ケアナースのあるべき姿

 

姫路聖マリア病院

川渕 まゆみ

 

はじめに

 

私は以下の目標をもって、淀川キリスト教病院にて実習を行った2週間の実習で学んだことを述べる。

目標:

1. 施設の概要を理解し、その中でホスピスがどのような役割を果たしているのかを理解する。

2. 医療チームの中で他職種と協力しながら患者のケアを担う看護の役割を理解する。

3. 施設の中で行われている看護ケアの工夫や問題解決の方法を知る。

4. 講義での学びと実際を具体的に結びつけて考えることができる。 

 

実習での学び

 

目標1について

淀川キリスト教病院は、1955年淀川キリスト教診療所として、フランク・A・ブラウン医師が開設者となり開所される。1960年宗教法人在日本南プレスビテリアンミッション淀川キリスト教病院となり、1984年には西日本初のホスピスを開設した。病院の玄関には、癒しの奉仕により人の救と神の栄光のためにこれを捧げる、というプレートが掲げられている。

「からだとこころとたましいが一体である人間(全人)に、キリストの愛をもって仕える医療」。これが淀川キリスト教病院の“全人医療”の考えである。この考えのもと、ホスピス病棟ではがんを主とした治療困難な患者さんが、その人らしい生を全うできるように援助されている。そのために、患者さんの苦痛をできる限り軽減できるように努力されている。十分に話し合って患者さんのあらゆる必要に応え、家族への配慮もしていくことが必要であると考えられている。

 

目標2について

訪問看護ステーションの訪問看護婦は、訪問日の夕方に、病棟婦長に患者の状態や家族の様子を報告されていた。それに加え毎週1回、訪問看護婦と医師、病棟婦長とで在宅ホスピス患者の情報交換が行われていた。そこでは在宅ホスピス患者の状態が分かり、今後の方向性をみんなで話し合われていた。患者のことだけでなく家族が介護によってかなり疲労されてきていることや、不安に思われていることなどを医師や病棟婦長に伝えられていた。それによって、医師が近日のうちに訪問されたり、プライマリーナースが電話訪問するプランが立てられていた。

病棟にはリハビリの先生が来棟され、その人が残された人生をどう生きたいかをもとにベッドサイドでリハビリテーションが実施されていた。伝道部からの先生には、ベッドサイドで患者のスピリチュアルペインの部分にかかわってもらっていた。この時の状況は、カルテの記録によって知ることができる。

他にも嘔気がひどく、なかなか食事摂取ができない患者に対しては、栄養課と連絡を取りその人が食べられる果物を毎食つけてもらうことを依頼されていた。このように、看護婦は専門家に積極的に情報を伝え、調整をし、専門家を活用しながら患者により人間らしい快適な生活を提供している。

 

 

 

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