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それぞれの職種の方々のお話を聞いていて専門職としての業務は十分理解できましたが、何より感じたのは全ての方々が傾聴、共感という姿勢が身についているということでした。

ケースワーカーの方は、1]経済的問題解決、調整援助、2]療養中の心理的、社会的問題の解決、調整援助に取り組まれています。この中には入院・入院外を問わず生活と傷病の状況から生じる諸問題を患者及び家族を含めてサポートされ、クライエントと共に学んでいるとも言われました。

理学療法士の方は少しでも痛みが和らいでQOLが高められるよう、寄り添いながら訓練されていました。

チャプレンの中川牧師は、宗教的な関わりについて牧師自身が注意していることの説明と、患者理解をして受容している姿勢を伺い、患者の気持ち・感情を大切にされ、患者さん自身が“自分は大切にされている”“愛されている”と感じられるように謙虚に傾聴する。難しい言葉は使わず噛み砕いてわかりやすくお話をする。そして神様との和解、人との和解など手助けをされていること。聖書を読み患者の苦悩・複雑な心理を理解し、特定の宗教や価値観などは押し付けないように細心の注意をして接していると言われました。

患者さんが死について話しかけてこられた場合、医学や看護学では答えられない場面があると思いますが、そんな時、宗教家に入っていただくと死への受容がスムースに行えると思われます。チームの方々のお話を聞いていて患者との関わり方を再度考えていこうと思っています。

症状コントロールについては、生命の尊厳を念頭に様々な薬剤を使用して苦痛の緩和が図られ、高度な専門知識が要求される場面です。

身体的苦痛・精神的苦痛・社会的苦痛・霊的苦痛の緩和に注目し、現在の本人、家族がどのような状況にあるか判断し、ナースがケアの中心となり、専門的な技術と知識を駆使して患者さんの苦痛を取り除く努力をするとともに、常に関心を持って患者さんに目を向け、状況に応じた対応を判断しなければなりません。

疼痛コントロールにおいては、全人的苦痛を理解・判断した上で、医師の指示のもとに適切なコントロールがなされ、患者さんに自分らしさを取り戻させ、患者さんの生命の質を高める重要なポイントとなるとともに医療者側との信頼関係の基盤ともなります。

常に医師及び他の医療チームとも情報交換をして情報を共有し、患者さんのペースに合わせた日常生活援助を行い、家族のサポートにおいては常日頃より傾聴し、いたわりを持って温かく励まし、その最愛の人の差し迫った死を受け止めることができるように、家族のライフスタイルを考慮した援助が必要と考えます。

看護婦はチームメンバーとして他のスタッフ(医師・看護婦(士)・看護助手・チャプレン・理学療法士・ボランティア)との情報の橋渡しをするという重要な役割を持っているということも学びました。

看護婦のジレンマについて山形医師と話し合いを持っていただきました。医師の治療方針、告知の問題、高カロリー輸液、セデーションの時期など説明していただき、自分の中のストレスはどこにあるか一つ一つ分析理解できました。理論付けができるとジレンマは起こらず、整理して理解できると考えます。

人間理解は患者・家族だけではなく働く人々との間にも言えることであり、特に医師は重責を担っているためストレスも多くあると思います。

 

おわりに

 

今回の研修及び実習で学び体験したことを現場で生かし、スタッフに伝えていくことが私の今後の課題であるとともに、スタッフの役割や必要性を理解してケアの調整をしていこうと考えています。

お忙しい中、とても親切にスタッフ同様に接していただき、とても礼儀正しく温かい受け入れをしていただき大変感謝しています。いろいろな試みが実践され、霊的配慮が完壁で多くのことを学び取ることができました。本当に貴重な体験ができ、自分なりに目標も達成できたと思っています。

 

 

 

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