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患者が望む治療とケアの提供

 

京都府立医大病院

藤本 早和子

 

はじめに

 

今回、私はバプテスト病院緩和ケア病棟に実習に行かせていただいた。そこで学んだこと、および今後の一般病棟においてどのような緩和ケアを提供できうるか、考えてみたのでまとめてみたい。

 

施設の紹介と学んだこと

 

バプテスト病院は京都の北の方にあり、自然に恵まれた環境の中にある総合病院である。その中の一つに緩和ケア病棟がある。病床数は20床(個室が9室、2床室が4室、3床室が1室)。専任医師2名、兼任医師2名、看護婦17名、看護助手1名、その他MSW、チャプレン、理学療法士がそれぞれ1名いる。病棟施設として家族控え室、談話室、面談室、ファミリーキッチン、チャペル、浴室などがある。看護婦の勤務体制は2交代制で、プライマリーナーシングをとっている。

私の研修の目的としてあげたものは、以下である。

1. ターミナルケアにおけるチーム内での看護婦の役割を知る(再認識する)。

2. 看護婦がどのようにして症状コントロールにおける問題点をあげ、どのように解決していくのか知る。

3. 緩和ケア病棟において、家族のケアがどのようになされているのか知る。

 

1) ターミナルケアと看護婦の役割

講義でも習ったが、やはり看護婦はチーム内において中心的な存在であった。症状マネジメントやその他医師やMSWとの連携などもナースが中心となって行っていた。ただ、働いておられる看護婦の話によると、やはりチームの連携が上手くいかないことも多々あるそうだ。例えば、医師と看護婦の意見が食い違った時など、話し合いが何度も持たれるが平行線で、その後もお互いのコミュニケーションが上手くいかなくなってしまうということもあり、いつもよいチームワークを保てているとは言えないとのことであった。

 

2) 症状コントロールの問題点

とにかく、自分の病棟との違いを感じたのは、「患者さんの状態が変化したら、すぐになんらかの対応がなされていたこと」である。特に痛みに関しては対応が早い。患者さんに我慢してもらう、少し待ってもらうということはほとんどないのである。それには2点のことが考えられた。医師が症状コントロールを重視して考えていること、朝の申し送りにも昼に行うカンファレンスにも医師が参加していること、それらが大きいように思った。もちろん受け持ちナースが中心となって問題をあげていくのだが、日々変化する患者さんの状態に対応するには、医師、ナースが共に同じ情報を共有していくことがとても大切に思う。ここでは、朝の申し送り時や昼のカンファレンスに看護婦からの問題点をみんなで共有し、必要ならば医師にいち早く相談してなんらかの対応をしていくという形がとられていた。このように症状コントロールにおいては、ナースと医師のコミュニケーションがとても重要であると思われた。

 

 

 

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