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UCSF症状マネジメントモデルは、病棟でも勉強会を行い、看護研究としての取り組みがなされています。私自身は、モデルを使いこなすところまで理解できていませんでした。内布先生の講義は具体的でとても理解しやすいものでした。このモデルは患者自身がマネジメントの中心であり、共に考えマネジメントしていく中で、看護婦の能力も必ず向上すると考えます。これからも学びを深めていきたいと思います。

 

3) 家族看護

家族看護の必要性は強く感じていますが、方法論がわからず戸惑うことがありました。具体的には、患者と家族の気持ちのずれ、家族の悲嘆が強く病状の理解ができない、家族の意見がまとまらないなど、様々な問題に直面します。今回の講義を通し家族のとらえ方、援助の方向性を見つけることができました。家族システム理論では、患者と家族を別々に考えるのではなく、円環的に影響しあい、循環していると考えていくことがわかりました。二重ABCXモデルは家族の危機をアセスメントする指標とすることができ、とても興味深く学びました。ここで大切なのは、問題解決の主体は患者と家族であること。看護者の役割は、家族と協働しサポートしていくことだと学びました。

また、家族には様々な形があり歴史があります。私たちの価値観を押しつけることはできず、押しつけることにより、変化するものではありません。ありのままに受け入れる必要があります。振り返ると、こうあって欲しいという思いが強くジレンマを感じることもあったりしました。患者、家族のニードが何なのか明確にし、援助の仮説をたて、目標を共有していくことの大切さを学びました。

 

4) 生命倫理

ホスピスケアの目標は、患者さんがQOLを最大限にすることです。しかし、いろいろな問題が複雑に絡んだり、生命に関連した難しい問題に直面すると、何がQOLの向上になるか選択に迷い、考え悩むことがあります。最終的には、チーム内で検討し決定するのですが、その選択は難しく、私自身ジレンマを感じることが何度かありました。このような選択には倫理的側面について考えることが重要ですが、きっちりとした指針がなく、自信をもてませんでした。清水先生の講義を通し、考える指針を得ることができました。

選択の難しい問題に直面するとき、何故そうするのか、みなが納得できるような説明を見出す必要があります。その基盤が倫理的原則であり、3つの原則と4つの準原則に基づいて呈示されました。行為の目的(患者にできる限り大きな益をもたらすことを目指す)、行為の進め方(人として患者を尊重する)、他者への影響について考えることにより、納得のいく説明が可能となります。これからも様々な問題に直面すると思いますが、倫理的原則をふまえ、しっかりとした説明ができるよう訓練していきたいと思います。

 

5) チームアプローチ

チームアプローチにおいては誰もが積極的に意見の交換を行い、ひとつの方向性を見出すことが目標ですが、実際にアサーティブに自己主張していくことは難しく感じていました。チームアプローチは「それぞれが確立した[個]が互いに違いを認識しあいながらも、相互依存関係で自発的に結びついたもの、ある種の緊張を伴う関係の中で意味と価値を作り出していくプロセス」と考えると、意見の相違は当たり前のことであることに気づきます。お互いを尊重しながら意見の交換をしていきたいと思います。

グループワークを通しては、メンバーシップの大切さについて学びました。ひとつの目標を達成するために、皆が自分のことだけを考えず、全体を見渡し、情報の交換をしました。そこでは皆が対等で自由に意見の交換、行動ができ、信頼関係も生まれていたように思います。そしてひとつの目標を達成した喜びは大きかった。強力なリーダーシップより、積極的なメンバーシップが成功の鍵かと考えました。また、目標が明確化されていると、解決方法は容易に導きだせ、意見交換もしやすいことがわかりました。この体験が実際のチームアプローチにも応用できればと思います。

チームアプローチの講義を通し、自分自身をも見つめることができました。自分の傾向として、「私がやらなければ」と抱えすぎていたのかなということに気が付きました。チームメンバーを尊重し、メンバーが持っている力を引き出せるよう、共に考えていく姿勢を大切にしていきたいと思います。

 

 

 

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