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研修での学びを土台として

 

淀川キリスト教病院

和田 栄子

 

はじめに

 

ホスピスに勤務して1年数か月がたとうとしています。1年目はただ夢中で目の前の課題をこなしてきたという感じでした。しかし、患者さんとの関わりを振り返る中で、もっと理論的な知識があればよりよいケアが提供できたのではないかと考えるようになりました。また、終末期の患者さんは様々な問題をかかえており、いかに早く問題解決するかによって、患者さんのQOLは変化するのではないかと考えました。このように考える中で、私自身の知識の未熟さを感じ、緩和ケアにおける知識と技術を習得したいと思い、この研修に参加しました。研修に参加するにあたり以下の目標を立てて臨みました。

1. 緩和ケアの知識を深め、これまでのホスピスケアに統合する

2. ホスピスナースの役割について考え、これからの看護の土台とする

3. 教育計画について再検討する機会とし、スタッフ教育の向上に生かす

 

講習内容は緩和医療、症状マネジメント、家族看護、生命倫理、コミュニケーション、チームアプローチ、心理的援助ともりだくさんで、東札幌病院での2週間の実習と統合し多くのことを学んだとともに、自己の施設を客観的に見ることができ、長所、これからの課題についても考えることができました。ただ、いちばん学びたかった、精神的、霊的援助の学びが講義、実習とおして少なかったことが大変残念に思います。実際に学んだことを以下にまとめてみたいと思います。

 

研修での学び

 

1) 緩和医療、緩和ケア

緩和医療の授業では、緩和医療が認められ急増している背景を、医療、社会、患者の変化から学びました。このことは、大変わかりやすく、社会の流れの中でこれからのホスピスケアも考えていく必要があると思います。また、緩和医療は特別な人が、特別の場所でだけ受けられるものではなく、どこにいても受けられるものである必要があると思います。このような視点で考えるとき、自己の施設はどうだろうかと考えました。私自身、ホスピスに勤務するまで、緩和医療についての知識はほとんどありませんでした。ただ患者さんの苦痛を目の前にしてジレンマを感じることは多くありました。院内全体として、緩和ケアについて学び、考えられる場があればと思います。また、ここでの学びを伝えていくことも、私自身の役割であると考えています。

 

2) 症状マネジメント

ホスピスケアにおいて、症状マネジメントは重要な位置を占めています。症状が緩和されなければ、患者のQOLを向上させることは難しいと考えます。症状マネジメントのどの授業でも強調されていたのは、症状は患者さんの「主観的な体験」である、ということでした。マネジメントの評価を行うのは、医療者ではなく患者さん自身です。看護婦は患者に最も身近な存在であり、患者さんとともにマネジメントしていく役割を担っていることを再認識しました。

 

 

 

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