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5) 症状コントロール

症状は、主観的なもの。他者が体験していることを客観的にキャッチしていき、緩和することが、安楽の提供になる。疼痛マネジメントは、患者が専門家である。意識してやっていない患者には、行っていることの理論的意味づけをしてあげるとマネジメントの主役となれ、前向きに取り組むことができる。看護婦の役割は、その人に必要な知識を与える、正確な技術の提供、継続、評価。相手を認め、関心を示すサポートを意図的に行うことと、薬についての知識を十分に持った上で使い、併用してリラクゼーションなどを取り入れていく方法があることを知った。そして、共感性のリンクを意識して行くことを学んだ。

 

6) 進行がん患者の心理的特徴と援助

死の恐怖、存在意味など、死が予測可能である状況にいる。当然心の負担はある。看護婦として相手の心をどう理解するか、日ごろから尋ねる態度を持つようにすることで、知的、説明的理解、感性的、共感的理解(心で感じる)をしていく。その中で、自分に置き換えて理解している可能性がある。相手とズレを感じることは、価値観などが違うことを認識していることであり、大切なことであることを知った。

患者を支えるとは、過去、現在を共有し未来に責任をもつこと。大きな責任だが、私にできることからやっていこうと思う。

 

7) がん患者の家族への援助

看護学的家族の概念を知ったことは驚きであった。ここでの看護婦の役割は、ナビゲーターになること。問題解決の主体は、家族。上手く適応できるように支援していく。看護婦は、こうあったほうがよいと操作しがちであるが、家族にとって、どういう結果を目指すかではなく、そこにいくまでのプロセスが大切なのだということを学んだ。そして、いろいろな家族がいることをわかって、その家族の価値観を尊重していくようにする。どのような家族であっても、パートナーシップをとっていく姿勢を持つことが、援助になることを知った。

 

8) ターミナル期のリハビリテーション

意外なことに感じたが、目的が“いかに社会的に生きるか”と知り、必要性があることを理解できた。関節、筋力の評価をし、苦痛のない方法を選択、工夫すれば、ADLを維持できることもある。看護婦が、日々の介助のなかでのやり方を具体的に見る。その時の、能力を最大限に引き出せるような、環境を整え指導して行くことで、自分でできることがひろがり、できることの意味を喜び、人間の尊厳の回復につながることになることを知った。

 

おわりに

 

講義、実習を通し感じたことは、人は生きてきたようにしか死ねない。自分らしく生きるとは、特別何かをすることではなく、日常のささやかなことの中にその人らしさがあるということ。私たちにできることは、その人がどこに価値を置いているかを見極め、最大限それを尊重することではないか。

緩和ケアは、特別な人に対する医療でなく、どの分野においても、基本的な看護であることを実感することができた。また、今までやってきた看護の意味付けができたことは、大きな学びとなった。

今後、緩和ケアに携わっていきたいと考えているが、今与えられている環境で、できることから一つ一つ実践して行きたいと思う。

 

 

 

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