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2) 生命倫理

深く考えたり、意識したことはなかったが、仕事上でジレンマを感じていたことが、意外と臨床倫理についてのことが多かったことがわかった。例えば、臨床的脳死となり積極的治療の適応がなくなったとき、そのことを家族に伝え、今後の治療方針について、共同して考えていくことになる。家族は、突然の出来事に適応しきれてない中で、選択していく状況にたたされる。物事を決めていく上では自己決定が基本であるが、この場合はそれができない状況。家族の意志をどう位置づけるかということになる。

医療者が医療の進め方にかかわる目標設定には、倫理的チェックが必要とある。1)患者の意向、2)医療チーム内の合意、3)医療チーム内と患者の合意。

個別のケースを考える時、原則、ルール、理論に理由づけ、理屈づけて話しあっていくことが大切となる。実際では、医師が治療方針を決めていくところがある。チーム医療であるのだから、家族の身近にいる看護婦がもっと両者に介入し、カンファレンスで意見していき、チームとして合意していくことを行って行く必要性を感じた。

 

3) チームアプローチ

緩和ケアに限らず、どの分野でも大切である。様々な問題のいきづまり、他職種(特に医師)との連携が上手くはかれないことに、苛立ち、どうにもならない気持ちを重ねてきている。

他職種が患者を多側面からとらえられることは、患者の利益になるが、そのためにはチームアプローチが重要になってくる。チームとして何が大切なのか、チーム員が確認、カンファレンスで意見交換を十分に行い、決定したことは引き受ける。わだかまりが残っているならさらに意見交換して行くことで、共通認識していくようにする。各人が役割、責任を自覚し果たして行くこと。メンバーがいれば、複数の意見がでる。当然不一致は生じる。そのときは、何が影響しているのか、要因を知り、マネジメントしていくことをする。

今まで、理解してもらえない人については、あきらめていたが、そういう人も含めてチームとしてやって行くことが大切ということを学んだ。

グループワークでカードを用いて、言語的、非言語的コミュニケーションを体験した。言葉の役割の大きさを実感。非言語的コミュニケーションだけでも同じ目的があり、追い求める姿勢が両者に保たれれば、達成することが可能ということを体験した。

 

4) 緩和医療とケア

希望とは何か、目標に限りなく近づくという期待感。人生は、何か達成させるためにある。目標をもったことにいずれ達成できるのではないかということ。この言葉は、とても印象に残っている。患者の期待、希望が、本当に現実的なのか、ということを直視する。それができないと、現実とのギャップが拡がり、QOLを低下させることになる。今までの傾向として、何とかかなえていけないか、ということにとらわれて、無理をしていたように思う。看護婦は、職業人としてリアリストであることが求められるということを学んだ。

私の職場では、回復に向けて解決可能な問題に対し、アプローチをつづけて行くことが多い。緩和ケアにおいては、回復が望めない状況が前提となり、その状況下で、どう支援することがTotal painの緩和につながるのか、という視点で考えていくこと。高すぎる目標は、現実とのギャップを生み、それが苦痛増加となることもある。目標設定のプロセスの大切さ、患者の価値観の尊重、それを素直に受け入れる難しさを学んだ。そして、ケアの三原則、1)症状マネジメント、苦痛からの解放、2)コミュニケーション、3)家族への援助があり、パートナーシップ、チームアプローチの大切さがここでもうたわれていた。

 

 

 

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