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季羽先生の講義を受ける数日前に先生の著書を読んだばかりだったため、この本を書いた方に会えると楽しみにしていた。そして実際にお会いして、やはりイメージ通りの方だったことがうれしかった。温かい人柄が滲み出てくるようなお話を伺うことができた。そして家族に対する援助ということでは、自分はあまり行っていなかったと気付かされた。家族の一員としての患者をとらえていけるかどうかで看護も変わってくると思う。先生が示して下さった「家族関連図」は、実際に患者とそれを取り巻く家族を整理していくときに役立つと思った。看護者は家族関係を変化させたりはできない、その家族のありのままを見守っていくという訪問看護を長年行っている経験から話して下さったことも印象に残った。

内富先生の講義では、患者の心の痛みである抑欝について考えることになった。まず今まで身体的な痛みを尋ねるように、気分についても尋ねてみるということは偶然に行っていることはあったかもしれないが、意識して行ったことがなかった。気分を尋ねることの大切さを感じた。そして仕事と自分の時間との境界が暖昧になっていくことに関して、どのようにしたらいいかという質問にも考えを聴かせていただいた。仕事の中で精一杯その患者さんのことを考えればよいのではないかということを丁寧に話して下さった。受け持ち患者についてはのめり込みがちな自分を最近感じていたため参考になった。

他にもたくさんの講師の方が情熱を持って自分の研究してきたこと、緩和ケアについて語って下さり、自分の視野が広がったことを感じている。

 

死生観について

 

これまで、自分の死ということを具体的に考えることはなかった。死はなんとなくオープンに話し合ったりすることではないような気がしていたし、自分にとってまだまだ先のこと、関係がないことと考えていたような気がする。しかし、講義・実習や文献などを読むことで死が身近なものに感じられた。自分もいつかは死んでゆくこと、またその時にどのように死と向かい合うのかということを初めて考えた。今自分にとっての死をきちんと考えておくことで、他人の死ということも考えられるのではないかと思う。そして、死を間近に控えている方たちとも逃げずに対することができると考える。実際、今までは患者さんが自分の病気のことや死について話すと何となく居心地が悪く、適当に逃げてしまっていたと思う。自分の死ということをきちんと考えることで、「死」について話し合いたい方がいたときに、きちんと向かい合えるのではないかと考えている。

 

事例検討について

 

研修前に提出していた事例を用いグループワークを行ったことで、一般病棟と緩和ケア病棟の違いについて考え、また自分が行ったケアについて振り返ることができた。病棟でもできる緩和ケアがあると思いながらも、本当にこれで良いのかという自信のなさもあったと思う。余裕があればもっと落ち着いて話を聴くことができたのではないかと考えていた。

事例を検討してわかったことは、自分は今の病棟の中でできる緩和ケアを行っているということ、そして緩和ケア病棟と一般病棟の違いはあるのかという疑問には、緩和ケア病棟ではQOLを高めるということが最も重要視されているということがわかった。もちろん一般病棟でも大切にされるべきことではあるが、場合によっては治療が優先され、患者は我慢を強いられるという場面も多い。その部分で自分はモヤモヤしていたのではないかと思った。グループワークではそれぞれが持っている今までの経験や知識、そして今回研修に来てからの講義で得た知識を総動員させてお互いの事例について話し合うことができた。それぞれ悩みながら看護を行っていることもわかり、お互いについて理解が深まったように感じた。

 

 

 

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