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講師の「医療者はナビゲーターである」という言葉は、印象的であった。自分達の価値観で、家族は変えられず、また変化したとしても家族のストレスの対処方法を変えることであり、良いか悪いかを決めることはできないことを理解した。

家族援助においても、全人的痛みの視点でアセスメントしていくことが必要でないかと考えられた。

 

6) 今後の課題

緩和医療に関する内容として、明らかになっていないことも多く、研究の必要性も言われていた。「価値観の多様性」という視点からも、質的研究の必要性が言われている。研究会や学会に、事例から学んだことを1つ1つまとめていくことの必要性を感じた。そして、以下のことを実践の中での課題として、今後取り組んでいきたい。

1] 緩和医療の提供について、チーム以外のスタッフにも啓蒙していく。

2] 症状のメカニズムから理解できるように知識を付け、生態的病理学的に理解する。

3] 患者の症状体験を理解するために、意図的に傾聴し、客観的な問い掛けを行いながら体に現れたサインをモニタリングしていく。

4] 専門職としてのケア提供に繋がるように、意図的な関わりを行う。

5] バッドニュースの伝え方と、その後の支援について、患者さんと家族を尊重したケアを提供する。

6] 患者中心的介入・医療者中心的介入・身体的介入・サポートシステムへの介入を理解し、対象に合わせて使い分けることができる。

7] 個人の限界を知り、相互依存性を理解してケアの質的向上について考えられる。

8] 家族の発達理論から、家族全体を捉えた援助が行える。

 

おわりに

 

この研修を受けて、自己の看護を振り返ることができました。多くの講義は日頃の看護を理論的に考え、問題点を明らかにすることができました。実習では、講義の中の疑問を解くことができました。そして、実践の現場からの学びも多くありました。自己の課題を考えると、項目の多さと内容の深さから限界を感じないわけではありません。しかし、自己課題を言語化して表現することは、目標を設定する上でも必要なのではないかと考えました。

実践していく中で、これらのことを振り返りながら、自己の向上を志していきたいと思います。

有意義な講義をしていただいた多くの講師の先生と、この研修を支援していただいた金子先生に感謝いたします。

 

 

 

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