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精神的看護のアプローチの方法として、患者中心的介入・医療者中心的介入・身体的介入・サポートシステムへの介入・回避的介入の5つの方法があることを学んだ。患者の状況に合わせて、今自分はどのような介入をすることが望まれているかを察知することの必要性を学び、患者の状況に合わせたアプローチができるように努力したいと思う。

コミュニケーションは、良いチームワークを作るためにも必要であることも理解できた。相互依存関係を築くためにも、お互いを尊重するコミュニケーション・スキルを磨くための努力をしたい。

 

4) チームアプローチ

チームアプローチの必要性として、患者の全人的痛みに対応するためには、異なったスキルで課題に貢献することの必要性を理解した。各々の職種は、それぞれの役割と重なり合う役割を持っており、お互いの役割意識をもって認め合うことの必要性を学んだ。講義の中で、「メンバーの主体性と相互依存性との間のバランスが大切」ということを学んだ。相互依存性を考えた時に、お互いに理解し合うためには、言葉だけでは相手を理解したことにはならない。話の中身を自分の言葉に置き換え感情を反映することから、信頼関係を導くことができるのではないかと考えられた。個人の価値観の多様性が言われる中で、チームメンバーの個性を尊重せずに、患者中心のケアはできないのではないかと考えた。自分の所属するチームを考えた時に、コミュニケーションの不足を感じた。チームとしての目的が明らかになっていないことは、最大の問題であることを実感した。そして自己のメンバーシップを考えた時に、主体性に欠けていたことに気が付いた。この研修を受けて明らかになったことから、チームに還元できるような働きかけを行いたいと考えた。

実習施設であった全ての病棟は、プライマリーナーシングの看護体制をとっていた。基盤にはチーム医療があり、お互いに支え合っていることを認めていた。プライマリーナースが、ケアの全責任を負うのではなく、チーム全体として、患者と家族をケアしているという意識が確立されていることを感じた。スタッフ個人がどれだけ優れたケアを提供したとしても、そのケアが24時間継続されなければ患者と家族の不満にもなることを理解できた。そして、様々な問題が集約されている終末期の患者さんのケアを提供することは、個人の看護婦ではその役割を担うことはできないのではないかと考えられた。質の高いケアを提供するためには、情報の共有化と、個人の限界を知ってケアすることが必要であることを学んだ。

 

5) 家族援助

印象的だった言葉は、「お互いが家族であるという認識」ということであり、家族の成長過程の中に、患者の死があることを理解した。血縁関係に捉われず、患者さんが家族と認識した人が家族であるということを学んだ。家族の発達理論を学び、家族全体を捉えたそれぞれの援助の必要性を理解できた。

家族適応の二重ABCXモデルから、家族の一員ががんに罹患したことで家族がそのストレスに対処するためには、それまでの家族の対処方法があり、適応能力にも違いがあることを理解できた。「家族の生き方の延長線上に、患者さんの死がある」ということを、講義と実習から学んだ。自分のケアを振り返ると、患者と家族の仲介役を務め、家族の援助をしていたつもりになっていたが、家族の歴史を知らずに行うことは、誤解を生むこともあることを知り、家族援助についての理解の浅さを痛感した。家族が「患者にどう関わっていくか」ということを、意志決定した時の援助の必要性を学んだ。自己を振り返った時に、患者が危篤状態になった時にしか付き添いを薦めていなかったが、家族によっては、患者が意識のなくなる前に一緒に過ごすことを望まれることもある。家族が患者に、どのように関わりたいのかを理解して情報を提供することの必要性を理解した。患者が終末期になった時、家族のストレスの対処理論を知り、医療者はそのプロセスを見守ることしかできない。

 

 

 

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