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国立がんセンター東病院では、外来で患者のQOLを考え、インフォームド・コンセント、自己決定の尊重が行われていた。患者が痛みで苦しんでいることを理解し、痛みをとる努力をすることから始めていた。医師は患者に痛みの原因を話し、使用する薬剤、作用・副作用をきちんと説明していた。入院後も何回も面談を行い、一緒に症状コントロールに参加する意識を高めていた。そして、随時治療方針の見直し、ケアの評価、修正が行われていた。内布先生の講義の中で、症状マネジメントが患者主体の考え方をし、セルフケア能力を高めていくようにすることが大切であると学んだ。また、それらの症状に対するメカニズムを理解している重要性を指摘された。症状コントロールがうまくいかない理由には、私自身の問題でもあるが、看護婦側の病態生理が弱く、アセスメントがきちんとできていないこと。患者側の問題として、医療者まかせで積極的に治療に参加しないことがあげられるのではないか、と強く感じた。

今後自施設で症状コントロールを行う際の課題は

1] 患者、家族の指導を徹底する。

2] 看護婦は病態生理を理解する必要性を認識し、知識を得る努力をする。

3] 非薬物的療法の知識・技術を習得する。

4] 緻密な観察、ケアの評価を続けていく。

5] 患者、家族の目標を理解し、それが到達可能な目標なのかをアセスメントし、一緒に症状コントロールを行う。

これらのことを念頭におきケアしていきたい。

 

チームアプローチ

 

緩和医療は全人的ケアといわれるように、患者、家族の多くのニーズを満たすためにはチームアプローチが重要である。濱口先生の講義の中で、ネットワークとは「互いの違いを認識し合って、目的を持って行うことで、それぞれが互いの知識・技術を補完することで、一人ずつではできないことを可能にするシステムである」と話されていた。また、一人一人は自立しているが、相互依存している関係がいいとも話されていた。今まで価値観の違いから意見が合わないのかと思うこともあったが、価値観が違うのは当たり前であり、その違いがあるからこそ多方面からみることができると知った。患者にとってどうすることがいいのか、と同じ目標を持っていることが大切であり、気づいたことを気軽に言い合えるような雰囲気や信頼と尊重、コミュニケーション・スキルが大切であると学んだ。また、リーダーシップがうまくとれていなくても、メンバーシップを発揮することができれば、チームとしてはうまくいくことを知った。そのためには、チームの一員としての専門的な知識・技術を持って、責任を持って自分の役割を果たすことが必要である。

国立がんセンター東病院でもそのことが理解できた。お互いを信頼し合える関係になれる努力をしていく必要があると思った。そして、チームアプローチがうまくいくことで、症状コントロールもうまくいくのではと実感した。

今後チームアプローチを行っていく上での自己の課題は

1] お互いの価値観が違うことを認め合い、患者にとってどうすることがいいのかを考える。

2] 気づいたことを言い合える雰囲気をつくる。

3] 自分自身が信頼されるように看護婦の知識・技術を身につけ成長していけるように努力する。

 

家族ケア

 

終末期患者にとって、家族は大きな心の支えであり、また、家族は近い将来患者との別れを体験しなければならず、心を痛めながらも患者を支えていかなければならない。私たちは家族を「患者の援助者である」と同時に「援助の対象である」ことを認識してケアしていく必要がある。「看護婦は家族ではない。問題解決の当事者は本人と家族である」と季羽先生は何度も繰り返し話されていた。私たちは、その家族自身が、何が問題なのかを気づかせるような関わりをしていかなければならない。

 

 

 

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