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症状マネジメントはチームアプローチで

 

国立療養所近畿中央病院

中野 良美

 

はじめに

 

実習させていただいた衣笠病院は、昨年の6月に新設されたホスピス病棟である。我が病院も、今後緩和ケア病棟が設立する予定であり、どのように設立されたのか、症状マネジメントをどのようにされているのか知ることができたので報告する。

 

研修での学び

 

1) 症状マネジメントの知識・技術を深める

(1) 緩和のためにどのようにアセスメントしているのか理解する(カンファレンス見学)

カンファレンスを行うと決めていても、結局時間がなくできなかったことが当たり前に思っていた私にとって、一日2回のカンファレンスは驚きであった。また、スタッフ全員がカンファレンスをしようとする意識(時間がないからではなく、時間を作っている)や、他部門の方も参加(栄養士・ボランティア・牧師など)され、自分が行った判断、行動を振り返ることができるし、他の看護婦の判断や、全員の患者の把握がしやすい。そのためカンファレンスは、症状マネジメントを行う場としてとても重要なことだと感じた。症状マネジメントは一人で行っていくものではなく、チームアプローチの中で行っていくことであると感じた。

(2) 疼痛コントロールの実際を知る

ホスピスでは患者を主体として行動しているため、疼痛が著明である患者の褥創処置など必要な処置をする場合、拒否をされるとどうするのか疑問に感じた。しかし、そのように疑問に思うこと自体が疼痛コントロールの意味を理解していないと強く感じた。ここでは、1]患者が拒否するのは疼痛コントロールが不十分であるため、まず疼痛コントロールしていく、2]患者と相談していく(眠っている間にしましょう、今はしんどいので後でしましょう、など)、3]処置の間に疼痛が増強しないよう薬剤の調節や体位変換の工夫など行う、4]看護婦自身が薬剤の使用方法を詳しく理解され積極的に疼痛コントロールしている、5]医師の協力が得られる(看護婦が一番患者を把握しており、症状マネジメントしていくべきであると理解されている)。薬剤の使用方法を理解するだけでは疼痛コントロールはできないと感じた。また、傾眠傾向のある患者から時々「苦しい」という訴えがあった。私の中で、状態も悪化しており、このまま様子をみたほうがよいとアセスメントしてしまった。実際入院前のレントゲンをみると、肺のスペースが腹水と腫瘍により小さくなっていた。右肺呼吸音を聴取できないことから肺のスペースはより小さくなっているとアセスメントされ、疼痛と呼吸困難もあることから塩酸モルヒネを増量。それと同時に家族への説明(今の状態、今どんな治療をしているのか)を行った。傾眠などの状態悪化している患者の症状マネジメントの難しさを感じ、患者を主体に考え状態(原因)をしっかりアセスメントしていく必要があると感じた。

疼痛コントロールができている患者の評価を私なりに行うと、コントロールされこのまま様子観察としてしまった。しかし、ここでも疼痛コントロールする意味を改めて考えることができた。まず痛みを軽減することが大切であり、コントロールされると、次の目標であるADL拡大を考えていかなければならないと学ぶことができた。

 

 

 

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