日本財団 図書館


もう一人は52歳の女性で、結腸がん、肺、骨転移を認めました。胸椎転移から圧迫骨折をきたし、脊髄圧迫症状が出現していました。下肢の筋力、知覚低下をきたし、パルス療法、放射線療法により症状の進行は防止できていました。医学的には安静が望ましい状態でしたが、動きたいという患者さんの希望は強く、車椅子までの移動が許可されていました。動きたいという気持ちの裏には、人に迷惑をかけたくない、病気の進行を認めたくないという気持ちがあるのだと思いました。今後、患者さんの希望をどのように支え、現実との調整を行っていくのかが重要だと考えました。家族の問題もあり、娘さんは泣いたり不安を訴える母親を受け入れられずにいました。娘さん自身が不安であり、サポートを必要とされているのだと思います。毎日声かけをし信頼関係を築き、気持ちの表出をはかると共に、安心して介護できるようサポートしていくことが大切だと学びました。

このように、直接患者さんを受け持つことにより、問題を全人的にとらえ、チームアプローチの実際、その中での看護の役割について考え学ぶことができました。

 

まとめ

 

2週間の実習と講義での学びを統合し、ホスピスケアについて考えを深めることができました。実際の援助を具体的に考えると共に、チームの中での自分自身の働きについても考えました。また、自己の施設を離れることで客観的に考えることができ、新たな目標を見つけることができました。実習生の受け入れについても学ぶことができました。はじめに目標を明確にすることで、自分が何を学ぶのかを明確にすることができました。同時に実習生の主体性を大切にされていることも理解できました。

濱口副看護部長さんをはじめ、病棟スタッフの皆さんに暖かく支えられ、実習させていただいたことに感謝しています。これらの学びを持ち帰りチームメンバーに伝え、よりよいケアにつなげていきたいと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION