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2) 家族の悲嘆へのケアについて知る

(1) 在院日数が短いため、どのような関わりをし、信頼関係を築いていくのか知る

ホスピスに入院され1週間くらいしか入院期間がなかったK氏が亡くなられ、K氏の妻はパニック状態で泣き崩れていた。担当看護婦と共に入院期間中の2日間家族に関わった。妻は「楽なところにいってるのかな…」と時間の経過と共に少しずつ夫の死を受け入れていると、このときは感じた。しかしK氏のお見送りに妻の姿はなく、後から妻の姉たちに両サイドを支えられ泣き崩れたまま来られた。そのとき妻と信頼関係がなかったため無理に声かけはできないと感じ’、帰る準備ができるのを待った。その間、私は2日間関わった中でもっと家族に何かすべきだったと後悔した。しかし家族ケアの方法は本や雑誌に書かれているが、それをそのまま使えるものでもなく、“何かすべきだった”と思っていてもどこまで家族に入り込むのか分からないと感じた。K氏の退院後妻を支えてくれる人が多くいる(妻の思いを共感する姉たちがいる)という情報を聞き、無理に泣き崩れている妻と支えている姉に入り話をする必要はなかったと感じた。自分だけの思い込みで家族ケアを行い自己満足するのではなく、家族は何をどこまで求めているのか、家族背景を知ったうえで自分の役割は何なんだろうと感じることが必要であると感じた。ホスピスは在院日数が短いため、今後も短期で亡くなられる方が多いと思われる。そこでいかに1]短期間に情報を集め、2]問題の明確化(家族援助がどこまで必要か判断する、家族の適応能力がどれくらいなのか)、3]患者・家族と目標を共に決定し信頼関係を築いていくかが大切であり、看護の振り返りをみんなで行うことも必要であると感じた。

 

3) 各専門職の役割を知り、チームの中での看護の役割を理解する

(1) ボランティア、牧師、栄養士と関わって

今までボランティアの方々はヘルパーと同じで、掃除などしていただく方だと思っていた。また、何故ボランティアを始めようと思ったのか不思議に思っていた。しかし、ボランティアの方々と関わり、大きな間違いであったと感じた。七夕まつりでの飾り作りに参加し、私は何気なく4枚を一つにした飾りを作った。するとボランティアの方が、「もう1枚つけてね」と言った。私は何故だろうと思ったら、「患者・家族の方で“4”という数字を気にする方もおられるからね」と言った。そのとき、ボランティアの方は患者・家族の立場で物事を見ている、看護婦には気づかないものをもっている、ホスピスに必要なことだと感じた。皆さんにボランティアをしようとしたきっかけを聞くと、きっかけは人それぞれであるが、“自分の得るものが多くある”“感性を磨ける”“1年間ホスピスと関わって死の考え方が変わった。死を迎えることはその人にとってとても大切なことであると実感した”など、目的、目標が同じであると感じた。ボランティアと関わり、医療の中でも違う目線での物の考え方を学ぶことができ、看護について考えさせられた。

牧師は患者に宗派を教え込むのではなく、実存的な苦しみ(何もしていないのに、どうして私だけ病気になったのかなど)であるスピリチュアルの世界に触れていくとのこと。各専門職の方々はカンファレンスに参加されており、患者と直接関わりをもっていた。看護婦は専門職の役割を把握し、チームアプローチをどのようにしていくか常に考える必要があると感じた。

(2) レクリエーションについて

毎月レクリエーションを行っているが、患者にとっては最初で最後になることが多く、楽しみにされているとのこと。このことを頭におき、患者が参加してよかったと思えるよう、みんなで協力し行っていく必要がある。

 

4) 講義での学びと実際を具体的に結び付けて考えることができる

症状マネジメントを自分でする機会があった。担当看護婦と共に患者に接し、症状マネジメントをしていくところを見学し学んだ。どのように症状マネジメントをしていくのか理解したつもりだったが、いざ自分で患者から情報を収集しアセスメントしようとしても、コミュニケーションスキルが気になり思うように話ができなかったり、カルテからの情報収集が不十分で、どんな薬剤が何時に内服されているのか患者に伝えることができなかったりと、気が焦るだけであった。また、コンチンの副作用を考えていけば、すぐアセスメントできるようなことができなかったりと、全体がみえず症状マネジメントができないと感じた。学び実践することがいかに難しいか改めて感じた。日々のカンファレンスや事例検討を行い、常に学ぶ姿勢が大切である。

 

おわりに

 

症状マネジメントをするのは一人でするのではなく、カンファンレンスを行うこと、チームアプローチが必要であると学んだ。一般病棟でも看護婦はチームアプローチを意識して行っていくこと、今まで患者ばかりに目を向けていたが、家族と患者を一単位として考えていくことが今後の課題である。

実習を通して、症状コントロールとチームアプローチの実際について学ぶことができました。お忙しい中、実習を受け入れていただきありがとうございました。

 

 

 

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