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<薬剤師>

薬剤師は毎日のスタッフミーティングに参加しており、患者の変化を把握している。そしてナース、Drと相談し、患者に良い方法を選択したり、薬剤に対する説明が必要な患者には薬剤指導がされ、また薬剤師が患者から得た情報は他スタッフに伝えられている。

症状マネジメントには薬剤療法は重要な一つであり、適切な薬剤の選択(「十分な薬剤の知識がないと、薬剤でコントロールされる痛みもコントロールされず治療効果を期待できない結果になり得る」)と、新たな苦痛の予防(「副作用の知識・対処法」)を専門的立場で検討したり、最新情報を得て還元していく薬剤師の重要な役割を学んだ。

<ソーシャルワーカー>

ここでのソーシャルワーカーの役割は、入院についての電話相談を受けることから始まっていた。その内容は、まず自由に話してもらうことをするということだった。相談者の悩みであったり、関心事、これまでの経過(病歴)を話してくる方が多いそうだ。相談者によっては一回の相談で満足し、相談のみで終わるケースもあるそうだ。これに対しソーシャルワーカーの方は、「体験を理解してほしいのではないか、その人の気持ちに焦点を当てることを大切にしている」ということだった。このようにカウンセリングの機能を重視していた。その他には、入院されてからは社会・経済的側面の相談を依頼された患者への相談、援助を行っていた。

施設やソーシャルワーカーにより役割や内容は異なることを知り、その施設においてソーシャルワーカーがどのような役割をとっているかを理解することは、有効に役割機能を活用するために必要であることを学ぶことができた。

<ナースの役割について>

実習3日目になり、ナースの役割がADL援助中心に行われていることが見えた。その患者にとって何を援助したらよいかが見えて行えている。患者の生活ということが考えられているからだと思う。

これまで私が現場で行ってきたことは「症状をとる」ことに目標を置いてしまい、とれたときに何ができるか、何をしたらよいかが考えられなかった。授業では、「症状があることによってADLの何が規制されているのかを知ることは、症状マネジメントにおいては最も重要である」ことを学んだが、「常に患者の日常生活の過ごし方に着目している」ことと「ナースの役割であるADL援助」が思考の中で統合された。

また、ナースは患者さんの家族の顔、構成を把握していた。私は今まで、ひとまとめに「〜さんの家族」としか捉えていなかった。今後はキーパーソンは誰か、患者さんが家族と捉えている人は誰かを把握し、入院時からのご家族へのケアを充実させたい。

日々のスタッフミーティングでは限られたデータから患者の状態の変化をアセスメントし、環境面、家族への説明、症状マネジメントについて短時間で方向性が出された。緩和ケア、ターミナルケアには家族の存在は患者同様欠かせないメンバーとして考えられており、タイムリーに説明や面接がとられていた。

チームアプローチを通して、チームメンバー全員が時の過ごし方、患者、家族の思いに焦点が当たっており、同じ目標に向かうことの重要性(ターミナル期の患者、家族であるから特に必要であると)を学んだ。

 

2) 緩和ケアのあり方について

Drの講義の中で、疼痛コントロールの目標を“完全にとることを追求しすぎると、患者中心の医療でなくなり、医療者の満足の追求になりかねない”とあり、人間の弱さや、対象は人間であることから、同じ人間としての死生観や、自分自身を知ること、看護の位置づけを考えていくことの重要性を学んだ。同じ緩和ケアの中でも様々な考え方があり、自分はどう捉えるのか、どう考えるのかを表現していけるようにしていきたい。

 

 

 

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