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ボランティアの役割とは

 

社会福祉法人信愛報恩会信愛病院

蒲池 恵

 

はじめに

 

ホスピス病棟に勤務して1年が経過し、2年目を迎えた時期にこの研修を知り、自分が今までに行ってきた看護の振り返りと緩和医療の基礎、そしてこれから緩和ケアを続けていくために、どのように自分自身が成長していけばよいかを学びたいと思い希望しました。

また、他施設にて実習を行うことで、自分の勤めている病棟の長所、短所が明確にでき、そのことをスタッフに伝え、病棟の活性化、スタッフの今まで以上の成長にもつながるのではないかと考えました。

 

<実習の目的>

(1) ペインコントロールの実際を知る。

(2) チームアプローチの実際を知る。

(3) 家族への援助方法を知る。

 

実習で学んだこと

 

(1) ペインコントロールは、モルヒネをうまく使用しコントロールされている患者が多いと思いました。しかし、腹満感や全身倦怠感に関しては、やはり症状コントロールは難しいようで、検討されていました。私の病棟でも、腹満感、全身倦怠感はコントロールが難しく、いつもどうすればよいか悩んでいるところです。

症状緩和は医師が行えばよいというのではなく、看護婦としてできることはなにかをしっかり学び、実践していきたいと思いました。

(2) チームアプローチは、病棟内の医師、看護婦、ソーシャルワーカーがきちんとコミュニケーションが図れていると思いました。スタッフの誰もが疑問に思ったこと、納得いかないことはカンファレンスの場でディスカッションされ、全員が自分達のケアに自信をもって行っている印象を受けました。チーム内のコミュニケーションが、患者、家族への援助に大きな影響を及ぼすことも実感しました。

私の病棟でも、カンファレンスの充実を図り、チーム全員がもっといろいろな場面でいろいろな意見を出し合い、よりよい援助ができるようにしていきたいと思います。

(3) 家族への援助方法では、ホスピスは、患者だけではなく、その家族を含めての援助が必要であるということは、今までの実践でも実感はしてきました。しかし、その家族にどのような形でアプローチしていけばよいのか悩んでいるうちに退院になり、それが結果的にグリーフワークになっていることが多いです。グリーフワークも入院時より必要なことですが、患者が闘病中に、辛い時、苦しい時、それ以上に家族は悩み苦しんでいるという話を講義で聞き、やはり患者が入院中に家族にもアプローチをし、十分なケアを提供できるようにしていく必要があるとあらためて思いました。

入院中の母親を思うあまり、医療者に対して神経質になっていて、ケアする方もその娘に気をつかっているのが手に取るようにわかりました。しかし、家族が医療者に希望していることは決して無理なことではなく、患者、家族にしてみればごく普通の要求なのです。私達は、そのことに気づいていても、ついつい見過ごしてしまい、家族への援助が遅れてしまっていることに気がつきました。

 

 

 

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