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後輩を育成する役割を考えた時に、個性を尊重する前提には、チームメンバーの役割を果たすことがあり、自己を知り謙虚さを失わずに向上心を持てるように、自分自身が努力する必要性を理解した。勉強会は、定期的にテーマを決めて行われており、同時にスタッフからアンケートを取っている。日頃感じている疑問や不満を出し合い、勉強会の場で話し合われる。スタッフ間の考えを知る機会であるため、仕事や人間関係についてのストレスの軽減が図られていると考えられた。自己を振り返った時、ストレスマネジメントについて必要性は考えられるが、自己学習ができていない。この実習を機会に学んでいきたいと考えた。

実習施設におけるMSWは、「よもやま話をする伯母さんに感情を表出しやすい」という視点から、積極的に患者や家族に関わっていた。患者や家族も、定期的に行われる放送や訪問を楽しみにしている人達も多かった。福祉に対する情報を提供するだけでなく、医療者と患者と家族の間に生じるずれをコーディネートする役割を果たしていることを理解した。情報の生かし方を考えると、医療者主体ではないコメディカルの参加の必要性を学んだ。

 

2) 看護婦の役割である症状マネジメントの実際を知り、自己の課題を明らかにする

病棟内は、患者と家族の生活の場とした視点で環境が整備され、食事に対しても気配りされていた。消化器がんの患者が食事を残すことは当たり前であり、食べられなかったことに対する患者の落胆について共感していなかった。実習の中で、小さな小鉢に盛られた食事を全量摂取したことを、「今日も全部食べられた」と嬉しそうに話していた患者から、自己の価値観で患者と会話し、その価値観を押しつけていたことに気が付いた。食事に対する満足感が、患者さんの生命力に影響していることを実感できた。緩和ケアにおいて「共感」と「傾聴」はよく使われる言葉であるが、自分は言葉の表面しか捉えていなかった。病状の変化に対し、病態生理学的に考えられても、患者と家族がその現象をどのように捉え、精神的にどのように揺れ動いているかということを考えていなかったと思う。実習の中で、患者と家族の話を聞くことから、自己の言動を振り返り、常に医療者中心の介入をしていたと思えた。緩和ケアにおいては、患者と家族と医療者は対等な立場であり、相互依存関係の中にあると思う。その関係を築くためには、お互いに理解し合うことが必要であり、会話を行う時には内容を自分の言葉で言い、感情を表現することが必要であることを理解できた。コミュニケーションスキルを磨けるように、努力していきたいと思う。

患者のケアの方法も、スタッフ間の統一を図るために朝のカンファレンスで討議されていた。患者のみならず家族の満足感も含めて、看護婦だけでなく医師やMSWも、それぞれの役割を意識してディスカッションされていた。スタッフによりケアの方法が変わったり、雑なケアを行われることは、患者と家族の不信感に繋がり精神的な苦痛も与える結果になりうる。日頃、業務の忙しさを理由にケアが雑になっていたことに気が付き、改めて安全と安楽を基本とした、統一されたケアを提供することの必要性を理解できた。

家族のケアについても、「患者と家族」を別々に考えていた自分に気が付いた。講義の中でも「家族の成長過程の中に患者の死がある」ということを学んだ。家族も患者同様に、患者の病状により精神的に揺れ動いており、全人的な苦痛という視点でアセスメントしていくことが必要なのではないかと考えた。

 

3) 今後の課題

1] 緩和ケアの理念を明らかにし、チーム内で共通理解できるようにディスカッションを行う。

2] 自己を知り、個人の限界を認めることで、個を尊重し支え合えるよう努力する。

 

 

 

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