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また、看護婦も積極的に患者の状態を観察し予防に努めていた。すべての患者の口腔の状態、腹部の状態は毎日観察しアセスメントされ、患者の症状や病状に合わせたケアが行われていた。そして必ずケアの評価を行っていた。今回実習している間に、右大腿部にヒビが入ってしまい病的骨折に近い状態になってしまった患者がいた。排泄は最後まで自分の力で行いたいと強く思っていた患者であったが、体動時の痛みが強くその痛みに苦しんでいた。患者と十分話し合い、待つ姿勢で関わっていた。そして一日経過してから、患者自らバルンカテーテルを入れてほしいと話してきた。その後も患者の気持ちを理解して関わっていた。患者は、病状から日常生活の仕方を変更せざるを得ないこともある。たとえ、こうした方がいいとわかっていても医療者側の考えをむりやり押しつけてはいけない。患者、家族の気持ちを十分理解して関わる必要がある。患者、家族がどこに目標をもっているのか、さまざまな症状が日常生活にどのような影響を与えているのかを把握し、常に医師と看護婦が相談して症状コントロールを行っていくことが大切である。

今後自施設で症状コントロールを行う際の課題は

1] 患者、家族の指導を徹底する。

2] 看護婦は病態生理を理解する必要性を認識し、知識を得る努力をする。

3] 非薬物的療法の知識・技術を習得する。

4] 緻密な観察、ケアの評価を続けていく。

5] 患者、家族の目標を理解し、それが到達可能な目標なのかをアセスメントし、一緒に症状コントロールを行う。

これらのことを念頭におきケアしていきたい。

 

チームアプローチの実際を学ぶ

 

緩和ケアを行うにはチームアプローチは必要不可欠である。国立がんセンター東病院の緩和ケアチームは、医師、看護婦、看護助手、薬剤師、栄養士、理学療法士、カウンセラー、ボランティア、精神腫瘍学医師であった。毎朝の申し送り、ミニカンファレンス、午後のカンファレンスには必ず医師が同席していた。午後のカンファレンスは、気軽に意見交換をされており、相手の考えを否定したりせず受け入れ、みんなで患者にとってどうすることがいいのかと話し合われていた。合同カンファレンスはチームメンバー全員が参加されていた。2週間を通して感じたことは、一人一人が自分たちの役割に責任をもって行っている、そしてお互いの役割を認め合って信頼し合って行っているということです。合同カンファレンスでは、患者の病状については医師、日常生活や家族に関しては看護婦が話され、メンバー全員で目標を確認していた。私は今まで一年間合同カンファレンスを行ってきたが、看護婦間の話し合いが主で合同カンファレンスの意味を見いだせずにいた。チームを巻き込んでいけるようにしようと話し合ってみたが、なかなか効果が得られなかった。自分自身を振り返ってみると、チームメンバーの一人としての役割に対し消極的だったことに気づかされた。国立がんセンター東病院は、チームアプローチができているからこそ症状コントロールもうまくいっているのではないかと感じた。

今後チームアプローチを行っていく上での自己の課題は

1] お互いの価値観が違うことを認め合い、患者にとってどうすることがいいのかを考える。

2] 気づいたことを言い合える雰囲気をつくる。

3] 自分自身が信頼されるように看護婦の知識・技術を身につけ、成長していけるように努力する。

 

おわりに

 

症状コントロール、チームアプローチの重要性を理解することができた。そしてスタッフ一人一人が常に新しい知識・技術を得ようと努力している姿勢を学ばせていただいた。今回の学びを生かし、自己の看護観をしっかり持ってケアしていこうと思う。

 

 

 

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