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因みに、国によっては、人体に危険とならない程度の電圧値を安全電圧と称している。その値は、ドイツ及びイギリスで24V、オランダで50V等である。

 

4.1.3 電気火傷

感電災害は、最悪な事態の感電死を逃れたとしても、電気火傷の障害を起こす場合が非常に多い。特に接触電圧が高くなるに従い症状は悪化し、レーダーや無線機等の高周波による火傷もある。

電気による火傷は、他の火傷と異なり、治りにくい。それは障害が生体の深部にまで達するためで、壊死組織の脱落や肉芽の発生、表皮形成の遅いのが特徴である。また,四肢の損傷の際は治療経過中に、動脈、静脈から大量の出血をみることがあるといわれている。ここで、60Hz交流に触れた場合での、人体の抵抗の差異による危害について、文献から抜粋したものを表4.1.4に示す。

 

表4.1.4 60Hz交流に触れた場合の危害

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平凡社 大百科事典、尾佐竹徇「感電」より

 

[参考]電圧の定義(電気事業法 省令第61号第1章 総則“電圧の種別等第3条”による。)

*低圧とは、直流で750V以下、交流で600V以下のものをいう。

*高圧とは、直流で750Vを、交流では600Vを超え、7,000V以下のものをいう。

*特別高圧とは、直流、交流とも7,000Vを超えるものをいう。

 

4.2 作業場での感電防止策

感電災害は、本人の不注意以外に作業場の設備や環境の不安全状態が起因する場合も多く、次の事項に留意する必要がある。

 

4.2.1 造船所等との打合わせと安全上の配慮

造船所等で作業を行う場合は、その事業所の規律があるので、着工前には必ず現場責任者と打合わせを行って、その指示に従うことはいうまでもないが、次のような電気作業を行うときは、安全上の細心の注意を払わなければならない。

 

 

 

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