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資本市場(すなわち、社債の発行)を介して融資を募る会社は、特に、契約とその関連資料の詳細を開示しなくてはならない。例えば国家の安全が損なわれる場合など、開示に関わる必要条件には若干の例外がある。この手の開示に関わる必要条件は、契約における守秘義務を取り決める際に考慮に入れられるべきであり、契約を締結した後プロジェクトのリファイナンスのために社債発行を行う予定の場合は、特にそうである。

 

25.5.2 当局は、民間部門や金融界においては、締結された契約の詳細はそのうちに自然に人に知るところとなるため、契約の諸条件を内密に保とうとする試みには体裁にすぎない部分があることを認識すべきである。公共部門側がより公開性を高める利点は、当局が計画中のプロジェクトは、これに類似したプロジェクトにおいて事業者および資金提供者がどのような状態に合意したかを知れば得るものがあるし、競争の利益を得ようとすれば、状態を知らせることには少なからぬ利点がある。プロジェクト趣意書があるか、もしくは多種多様な媒体を通じて包括的な同時発表が行われる場合はふつう、将来の発効が見込まれる覚書もしくは情報メモには、契約やその他の資料の内容の詳細が大量に記載される。

 

25.5.3 事業者が念頭に置くべきは、会計検査院が、秘密情報であるか、微妙な情報であるかにかかわらず、契約をはじめ、その検査という目的に必要なすべての情報へのアクセスを要求するということである。会計検査院はまた、情報(契約の重要な諸条件や入札の評価結果など)を公表することもあるかもしれない。契約は、検査官および会計検査院院長が事業者の記録を検査する権利を付与されよう確実を期するべきである。

適切な契約書草稿は、以下のとおりである。

 

25 情報と秘密情報

 

(a) 当事者は本契約およびプロジェクト資料に関連するすべての事項を秘密に保つものとし、その雇用者および代理人が、契約に関連する事項をだれであれ人に開示することを防ぐために、妥当な努力のすべてを用いるものとする。

(b) 以下のすべては、上述の(a)が適用されないものとする。

(i) その者の、契約にもとづく義務の遂行に従事する者により、妥当に必要とされる情報の開示

(ii) 本条項に対する違反の結果としてではなく、すでに広く一般に利用可能であり、公有の著作物となっている当事者が立証できる事項

(iii) 第27条(紛争の解決)にもとづき、決定を下すことを可能にするための開示

 

 

 

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