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21.4 終了時の相殺6

 

別途明示されている場合を除き、当局は、いかなる金額をも第20章第1条第3行(当局デフォルト時の補償)、第20章第3条第4行(不可抗力を理由とする終了時の補償)および第20章第5条(任意の終了時の補償)による終了時支払補償と相殺してはならない。が、このような金額が相殺された後の終了時支払いが、当時の優先債務に等しいか、もしくはそれ以上の金額となる場合はこのかぎりではない7

 

21.4.2 事業者に対する当局による請求は、事業者に対する「市場価値」に基づいた終了時の支払いに完全に反映されるべきである。入札者はその勝算によって異なるが、この条件の下でプロジェクトの入札額からこのような請求の価値を差引くからである。つまり、入札額は事業者が条件を満たさなかった場合、当局が将来サービス料水準と相殺する額による。これは当局デフォルト、任意終了および事業者デフォルトを理由とする終了の2番目の評価方法である。こうした状況においては重複して勘定されるべきでないので、当局は、後任の事業者となる可能性のある業者の入札に対し、どのような請求を考慮に入れるべきか明らかにすべきである。

 

21.4.3 事業者デフォルト以外の理由で終了が発生する場合、当局は事業者の未払い債務を当局が補償として支払う金額のうちの、優先債務の代償として支払われる金額を除く全額と相殺できる(上記を参照のこと)。

 

21.5 支払方法

 

21.5.1 新しい事業者が事業者デフォルトを理由とする終了時に市場価値を支払う場合、当局は事業者に対し一括で支払う。その他の終了時にも、同様の支払いが行われるべきである(その方がバリューフォーマネーの観点から良い)。

 

21.5.2 その他の終了時には、補償がどのような方法で支払われるかは契約に入れるべきである。バリューフォーマネーが考慮されるべきだ。当局が契約の残余期間(であったはずの期間)で返済する場合バリューフォーマネーが達成される見込みはない。しかし、当局によっては負担能力の制限で、時間をかけて支払う選択権を残したいと望む。当局の選択は、仲裁の可能性によって影響されるべきではない(当局は事業者に支払うよりも、短期の預金から高利子を得られるからといって、長期にわたる選択をしてはならない)。

 

21.5.3 一般に、融資提供者は不良資産を好まないため、支払いは長期で行うが満額を最初の割賦償還スケジュールを前倒しで支払うという、当局の折衷案に合意することもある。しかし、地方自治体の場合、融資提供者は割賦償還に合意させられる場合が多い。

 

6 第11章(相殺)に、相殺する権利が記載される

7 賄賂および詐欺は除外される(優先債務は、どんな場合にも最大の支出であり、それゆえ(事実上)相殺はいっさい発生しない)。当局は依然、これらの事例において債務として支払い義務のある金額を回収できる。

 

 

 

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