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これは、当局による任意解約(【20.5 当局による任意解約】参照)の際に支払われる補償と同レベルである。これら2つの種類の解約における補償について別なやり方をとると、当局は一定の状況の下では任意解約よりもデフォルトをしようと動機づけられる可能性がある。よって、この指針では任意解約と当局のデフォルトによる解約に同一の方法を用いることを推奨する。

 

20.2 事業者のデフォルトによる解約

 

20.2.1 はじめに

 

20.2.1.1 契約は、事業者のデフォルトに起因する中途解約の可能性について包括的な規定を行うべきである。たとえ比較的軽微なデフォルトによって惹起されたにせよ不適当なサービス提供の場合は解約する能力を持ちたいという当局の望み(当局が従来型のサービス契約において持っていた権利)と、事業者及びその資金提供者の、解約は他の代替的選択肢が全て尽くされた後に、もっとも重大なデフォルトの場合のみに限りたいという望みとの間で公平なバランスを取らなくてはならない。代替的選択肢には、合理的な矯正期間および直接契約を含む(【20.2.4 矯正】【30 直接契約】を参照のこと)。

 

20.2.2 解約時由

 

20.2.2.1 契約は、解約を引き起こす事業者のデフォルト事由を特定するべきである。できる限りそれらは客観的かつ明確なものである必要がある。望まない解約を避けるためにはある程度寛容度を持つ必要がある18

適切な契約書案文は以下のとおりである。

“事業者のデフォルト”とは、以下のいずれかを意味する。

(a) 事業者による、本契約にもとづく義務に対する違反で、サービスの履行に重大な悪影響を与えるもの

(b) [継続的に違反が生じる場合]19

(c) 裁判所が事業者の清算命令を下すか、事業者の自発的な清算決定が認められる20

(d) 事業者の財産保全管理人もしくは管財人が指名されるか、もしくは債権者によって、または債権者に代わって、請求の対象である資産が占有された場合

 

18 例えば、解約を引き起こすサービス業績についてなど。

19 これが適切かどうかは、【20.2.3 事業者の継続的違反による解約】を参照のこと。

20 当局が同意した会社更正手続については例外とすることも可能である。しかし、当局が同意すればたとえ契約において該当する事例が定められてない場合でもこの措置は可能となるので、これに関わる条項を含める必要はない。

 

 

 

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