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当局は、そのITNに含めるべき物価スライド制を決定するにあたり、RPI以外の指数について徹底的に検討すべきであるが、この決定を下すにあたり後述される要因はきわめて重要である。この指数の選択を入札者に任せるのは、入札者がそれぞれ異なる指数を用いた場合に入札者同士の価格とVFMを比較するのが難しくなるので、本章では正答としない。14.2.3当局は、どれが適正な指数かを決定するにあたり、その支払い能力という制限を考慮に入れなくてはならない。しかしながら、当局はまた、事業者が相当のインフレ・リスクを負うことを求められるなら、より高い価格を請求する可能性があるので、プロジェクトによってはとくに長期にわたる指数、たとえば建設の価格には建設に関わる指数を用いて、それ以外には(市場テストに代わるものとして)施設管理に関わる指数を用いる方が望ましいことを認識すべきである。価格の影響は、事業者に与えられる予定の、もっと多岐にわたる、費用関連のリスクからの保護と比較考量されるべきである。

 

14.2.4 適正な指数の選定には、当局が注意を払うべきである。寿命が短いか、もしくは他と無関係に作成されたのではない指数を選択するのは賢明なアプローチではないし、特定の産業や部門のみに注意を集中しすぎるのは無意味である。これは、部門によっては(たとえば防衛産業)、事業者もしくはその系列会社はそれら自身が、相当額のインフレによる費用につき、その責任を負っているからである(ということは、実際問題として、彼らが自社の価格を上げることにより指数に影響を与えることができるのである)。

 

14.3 営業に水準点の決定および市場テスト−総論

 

14.3.1 契約の中には、営業費の予測不能な変化に対応するために価格変化のメカニズム(たとえば物価スライド制は除く)をもつのが適正でないものもある。これは、事業者の費用のすべてが固定的であるか、物価スライド制の規定によって一般価格一般物価水準の変化から適正に保護されているか、いずれかだからである。賢明を理論では、FVMの継続を確実化する事になっているが、水準点の決定と市場テストの実施がさらにもっと困難になるし、(購入されるサービス間に相互に関係する性質や即座に利用できる比較測定者の不在が原因となって)契約によっては不可能なこともある。【14.4. 水準点の決定】および【14.5 市場テスト】では、実行が困難であるにもかかわらず、水準点の決定および(もしくは)市場テストは、契約の種類よっては可能であるものと、仮定している。“水準点の決定”および“市場テスト”という語の定義は、後述される。

 

14.3.2 水準点の決定と市場テストはともに費用と経営の展望から、事業者の責任である。プロジェクトによっては、いずれかが存在すれば、下請業者の費用を最小限にとどめるために水準点の決定と市場テストの過程を積極的に管理するためにプロジェクトマネージャーを雇用する結果となる。したがって、後述の【14.4.4】で言及される共同負担のメカニズムはかかるアプローチが確実に促進されるような方法で構築されるべきである。

 

 

 

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