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14. 価格の変化

 

14.1 はじめに

 

14.1.1 契約は、一括請求を、不可分契約の条件として記載する。しかしながら、長期にわたる契約期間を通してのインフレ率と特定の営業費の不確実性に起因し手、当局と事業者の双方の利益において、ある特定された状況下で一括請求を変更するための規定を記載するのが普通である。事業者はつねに、その費用を統制することを奨励されるが、費用の予測不能の変化を提示するメカニズムがあれば、事業者は、たとえばその入札価格にかかるリスクのための規定をきわめて強大なものにする必要はない。同様に、当局は上手に機能している競争を保つことにより必ず競争価格が得られるようにするべきであるが、何年か後に支払うと合意された価格がかかるサービスの将来的市場価格を超えることが絶対にないようにするための手段がいくつかあれば、当局はさらに気楽になる。

 

14.1.2 契約は、法律の変更(【13. 法律の変更】を参照のこと)、物価スライド制、水準点の決定および市場テストのための規定の間が正しく釣り合うようにしなくてはならない。これらは本質的に相互に関係し合うものだからであり、とくに営業費に関わるリスク配分という点ではそうである。たとえば、物価スライド制がRPIに立脚している場合、事業者はたとえば費用のRPIを超える増加分を負担するか、もしくは直接的であれ、下請業者の管理を通して(たとえば、市場テストを介して)であれ、それらの費用を下請業者に転嫁するか、いずれかである(過剰な費用がすなわち下請業者は、水準点が決定するまでの期間は一定のリスクを負担できる)。また、事業者は水準点の決定もしくは市場テストの規定を通して何らかの保護を受けられるのであれば、法律の一定の変更に関連するリスクを負う覚悟を強めるだろう(すなわち、水準点決定か市場テストの後に余計な費用がある程度償われる公算があれば、事業者は水準点の決定までの期間、一定のリスクを負担できる)。当局はその入札資料と作成する際に、まちがいなくかかる相互関係を考慮するべきである。

 

14.2 物価スライド制

 

14.2.1 事業者は、契約中にインフレ率が増大し、契約で設定した当初価格では営業費と融資返済義務の支払いに不十分になる事態からみずからを保護することに関心を抱く。したがって、支払いメカニズムにはふつう、契約の締結時に合意された一括請求を物価によりスライドさせるための手順が含まれている。物価スライド制がなければ、事業者はインフレのリスクを償うためにその価格に臨時の出費を組み込まざるをえなくなる公算が大きく、そうなれば当局がVFMを与えられる見込みは少ない(インフレのリスクは、事業者の支配がまったく及ばないため)。PFI契約が一般的に定める長さの契約期間を通して価格が固定されているのは、きわめて異例である。

 

14.2.2 当局は、プロジェクトの開発段階の初期における支払いの流れに物価スライド制を適用する適正な方法について、注意を傾注すべきである。ITNが発行される頃には、契約は適用されるべき物価指数の種類、およびその適用方法(たとえば、その指数が一括請求の全体に適用されるのか否か、公式の一部となるのか否か)を特定すべきである。

 

 

 

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