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14.3.3 水準点の決定もしくは市場調査の対象として適正なのは、ソフトなサービスだけである。このガイダンスでは“ソフトなサービス”という語は、施設に関わるプロジェクトのうち施設管理といったサービス(一般的には、たとえば給食、清掃および保安などのサービスである)のようなサービスで、その履行に相当額の資本支出がともなわないか、もしくは契約にもとづく資本資産の価値に影響を及ぼさないサービスを意味する。こうした定義を用いるのは、請求される価格が代替可能な下請業者の価格との比較が行われるべきだからだし、また資本費用を下請業者が負担してきた以上、こうした資本費用を含まない入札者の価格と比較されるべき価格にこうした資本費用が含まれていると考えるのは現実的でないからである。建物の“改装”もしくはライフサイクルに関わるるメンテナンスは、水準点の決定や市場テストの対象とされるべきでない。

 

14.3.4 水準点の決定及び市場テストの双方により、当局は、入札者が採用した契約上の構造が現実的なアプローチを行っているかどうか検討する必要がある。しかる後に、水準点の決定もしくは市場テストを行われるべきソフトなサービスを提供する者が事業者自体と契約中である(そして、サービスは下請業者によって提供される)との仮定が立てられる。下請業者によって下請業者にサービスが提供される場合にも、同様の論理が適用される。

 

14.3.5 しかしながら、問題のソフトなサービスが、完全に統合されたサービスの一部として、活動中の下請業者によって直接提供される場合、水準点の決定もしくは市場テストは首尾よく実施される可能性がある。また、ソフトなサービスが活動中の下請業者から遠く隔たった下請業者のレベルで提供される場合、費用と事業者が請求される価格との関係はより無関係になるので、水準点の決定と市場テストは双方ともより困難になる。

 

14.3.6 多くの契約は、ソフトなサービスを、水準点の決定および(もしくは)市場テストを行われるべきものと、すでに規定している。これらの契約は、多数の異なる手順を採用してきた。たとえば、以下が挙げられる。

・ 水準点の決定は義務づけられないが、事業者の支配のおよばない費用総額に、たとえば5%以上の変化があり、それが当初の収益レベルに影響を与えていると信じられる場合、当事者のいずれかの側が、10年か15年のサービス提供期問の後、一括請求の再検討を行うことができる(【12. サービス提供の変更】を参照のこと)。

・ 両当事者間の合意を基礎にした、あらゆる種類のソフトなサービスを対象とする、5年に1度の水準点決定の作業。一括請求もしくはサービス提供の必要条件の調整は、費用と水準点となる費用との間、にたとえば5%以上の変化があった場合のみ、行われる。

・ いくつかのプロジェクトでは、施設管理に関わる履行の支払いを、費用の変化率にかかわらず、5年ごと水準点決定の作業にしたがって行う。かかるプロジェクトでは、利用可能性に関わる支払いは、決定された水準点には従わない。

 

 

 

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