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8. メンテナンス

 

8.1 はじめに

 

8.1.1 事業者は、施設の状態を指定されたアウトプット基準に維持するために必要となるプラント・機器類・設備・備品・調度品などの更新計画に基づいてコスト計算を行っている。プロジェクト期間を通じて、そのための資金調達方法をどうするかと言う点も検討する必要がある。何をいつ更新する必要があるか、そのコストがいくらかかるかの査定に関わるリスクは、通常事業者が負うべきものであり、当局はこの点に関して細かな指示を与えようとするべきではない。

 

8.1.2 当局が最初にそのサービス要件をアウトプット仕様として示したほうがメンテナンスリスクの移転は達成し易い。メンテナンス方法については、入札者が独自提案を行うことが認められるべきである。例えば、より寿命の長い資産を使用するとか、もしくは別の使用方法を採用するなどの方法により代替メンテナンスプログラムを提案に組み込むことも考えられる。当局は、自分自身の資産更新に関わるシステムを入札者に義務づけようとするべきではない。

 

8.1.3 しかしながら、当事者間では計画的な予防的メンテナンスプログラムを確立することが必要である。それにより、両当事者はサービスの各部分について支払減額が行われることなしに“利用不能”であると認められるのはいつかを知ることができる(【7.10 メンテナンス計画】を参照のこと)。また契約には、当事者のどちらからも計画されたプログラムに対し合理的な代替案(すなわち、サービス提供に悪影響を与えない案)を提案できるメカニズムが含まれるようにするべきである

 

8.1.4 以下に示すのが、メンテナンスに関わる典型的な契約条項である。

 

8.1 メンテナンス

 

事業者は、いかなる時であれ、そのメンテナンスと運営手順が以下を確実に実現する上で十分なものであることを継続的に確保するものとする。

(a) サービスが継続的に利用可能であること この定めは、該当プロジェクトのアウトプット仕様と比較対照されるべきである。

(b) 資産“資産”の定義で言及された物理的資産をさす。が構造的および装飾的に良好な状態に保たれること(但し、通常の摩耗・損耗を除く)

(c) 設計の意図が保たれ、その運転寿命を全うさせること

(d) [資産が満了日に、本条の条件が遵守された状態で、当局に返却されること]小項(d) は、当局が少なくとも資産取得のオプションを得、事業者が残余価値のリスクを負わない場合にのみ該当する(【19. サービス期間満了時における契約終了】を参照のこと)。

 

 

 

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