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4.4.2 むしろ当局への必要な念書の差し入れや信用補完がプロジェクト文書によって提供され、担保保証や下請け事業者と当局の間の直接契約(23.5【資金提供者の保証】及び28【当局の介入権】参照)である。

 

4.5 最終期限

 

4.5.1 事業者の不履行に起因するサービス提供の開始の無期限の遅延は、通常認められない。当局は最終期限(longstop date)を設け、その日の後にまだサービス提供が開始されてない場合は契約を終了してもよい(【20.2.2 契約終了に至る事由】を参照のこと)。

 

4.5.2 最終期限は、予定のサービス提供開始日を参考に決定されることが多い。プロジェクトの性質、および事業者とそのシニア・レンダーに事態を免責するために与えられる、合理的に見て十分な時間を考慮に入れたうえで、合理的な日が選定されるべきである。予定サービス提供開始日と最終期限の延長は、補償事由、免責事由、もしくは不可抗力事由(【5. 遅延】および【20.3 不可抗力による解約】を参照のこと)により惹起された遅延の範囲内とすべきである。

 

4.5.3 当局はかならずしも、最終期限によって与えられる権利を必要としないこともある。たとえば、道路庁(highwayagency)による新たな契約締結の方法は、事業者が完工する経済的なインセンティブとサービス開始を実現するためにシニアレンダーが利用可能な免責に頼り、固定したサービス供給開始日を定めないというのと(【2. 契約の存続期間の脚注1を参照のこと)同じ理由により、最終期限を設定しない。

 

4.6 早期サービス開始へのボーナス支払

 

4.6.1 時に、“ボーナスの支払”がサービス提供の早期開始を対象に行われるべきだという提案が時々なされるし、とくに当局が上述された類の、サービス提供の遅れからの保護を必要条件とした場合などはそうである。しかしながら、“ボーナスの支払”という語は、誤解を招く可能性があるので、どんな考え方か、それがサービス提供の早期開始の承認を守る仕組みと、いかに結びつくかを理解することが重要である。

 

4.6.2 当局にとって重要なポイントは、(それが合意されていなければ)当局がサービス提供の早期開始を受け入れる義務を負うべきではないということである。ボーナスの支払を承認するのは、それが、VFMをもたらす場合だけだということである。サービス提供に対する、きわめて大きな需要があるか、もしくは早期開始が当局に財政的な利益をもたらす場合は、サービス提供の早期開始が良好なVFMを有することが明確に証明されるかもしれない。この事例に該当するのは、たとえば、早期に開始すれば、プロジェクトが第三者の付加的収入を創出するか、もしくは事業者に節約をもたらし、それを当局がともに享受する場合である。当局にとっての利益はいかなるものも、各事例ごとに評価されるべきである。

 

 

 

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