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4.2.4 損害賠償金がそれ相応でVFMであるであれば、当局は入札プロセス(すなわち、ITNにおいて)で前もって損害賠償4のレベルを特定し、上限5をつけるべきである。また、入札者に対し、代替案としてより高い上限もしくはより低い上限を入札するよう勧めることもできるだろう。入札者は損害賠償金のない或いは低いか又は高い上限をつけた入札を提出するよう要請を受ける。当局の技術アドバイザーもしくは財政アドバイザーは、適正なレベルについて助言すべきである。

 

4.2.5 当局が留意すべきは、損害賠償金の適正な金額の評価は、サービス提供開始の遅れの結果として当局が負担する公算の大きい損失の、純粋な事前評価でなくてはならないことである。これが該当しない場合はその金額が制裁と判断されるかもしれず、損害賠償金に関わる規定は事業者に対して法律的に履行を強制できないものとなるだろう。

 

4.2.6 事業者が期日にはサービス提供をできるようにはならないだろうが、当局にとって承認可能で、かつサービス提供開始日に開始(もしくはサービス提供開始の遅延を短縮)することのできる、代替的な形式を見つけた場合、当局は一括請求を減額するために、一定期間この代替的なサービス提供が行われることに合意するかもしれない。損害賠償金の支払責任は問題の期間だけ延期されるし、事業者の収入の流れも開始する。一括請求は、サービス提供が契約したとおりに行われてないという事実を反映して、適正に減額される。これは、契約の締結前に合意を必要とする問題ではないため、その時点で取り決めなくてはいけないかもしれない。

 

4.3 契約履行保証

 

建設業界においては、一般に建設事業者により、完成の保証の形式で契約履行保証が与えられる(補償額は通常、建設価格の数パーセント)。契約履行保証は、たとえばサービス提供開始予定日が見過ごされた時など、受取人が要求されるかもしれないものである。事業者とその融資者もおそらく建設下請業者に契約履行保証を要求するだろう。従って、建設下請業者はその顧客(すなわち事業者)に保証を与える費用と時機の効果を考えるだろうし、下請業者から保証を得た事業者は今度はみずからが当局に保証を与えるだろう。損害賠償金があるのに、当局自体が──事業者とその融資者により要求される、その他の保証に加えて──契約履行保証を要求すると、支払い金額の増額とより長期の建設期間という結果になる可能性が高い。これもまた、当局にVFMを与えないかもしれない。6

 

4.4 親会社の保証

 

4.4.1 伝統的な調達業務において、当局は事業者および(もしくは)下請業者のサービス提供を予定通り行う義務を支援するという、親会社からの、事業者および(もしくは)下請業者(とくに建設した受け業者)に対する保証を得られることを期待するかもしれない。しかしながら、これはPFIでは普通は適正ではないし、入札者の入札承認の先決条件とすべきではない。この問題については、第23章(補償、保証、および契約上の請求)で、さらに詳しく論じる。

 

4 損害賞金については入札で別途明らかにされるのであれば、それは提出されたあらゆる入札の評価の助けになる

5 上限は資金提供者にとって重要問題である

6 親会社保証(4.4.2参照)を求めない理由は当局がパフォーマンスボンドの要求を考えるのと同様である。

 

 

 

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