日本財団 図書館


4. サービス提供の遅れからの保護

 

4.1 はじめに

 

4.1.1 契約は当局にVFMをもたらし、請け負い業者によるサービスの提供の遅延から保護されるような内容でなければならない。また、その際には当局がこうむる可能性のある損失及び取り得る代替案(のコスト)の必要性を考慮に入れておく必要がある(3.3.2参照)。本章では、特定のプロジェクトについて遅延等からの保護の適正なレベル、種類および組み合わせを取り扱う。

 

4.1.2 サービス提供の遅延の問題を検討する際、当局は、遅滞なくサービス提供を開始することについて事業者も当局と同程度に高い関心を抱いているであろうことを認識するべきである。事業者の資金調達は、サービス提供の遅延に対処するための予備費は限られており(とくにシニア・レンダーが関与している場合)、事業者は当局からの支払いがないとシニア・レンダーに対する義務を果たせないため、現金流出の危険に陥る。事業者がサービス提供開始に遅れるごとに、日々収入を失うだけでなく、その収入を得られる期間も減少する。建設段階が長引けば長引くほど、事業者の不安は増大するだろう。

 

4.1.3 当局がサービス提供の遅延の結果として多大の損失をこうむらなければ、特定の保護はたいていは必要ないだろう。例外的な事例においては、当局は、たとえば損害賠償金、契約履行保証、および(もしくは)親会社の保証など、事業者からの保護(更に支払い金額の不払い)を必要とする場合もある。1しかしながら、こうした種類の保護は、価格を押し上げ、プロジェクト進捗に影響を及ぼすため、当局はその、VFMに対する影響について慎重に考慮しなくてはならない(【4.2 損害賠償金】、【4.3 契約履行保証】、【4.4. 補償、保証】、および【23.5 資金提供者の保証】を参照のこと)。

 

4.1.4 当局もまた、期限を設け、事業者がかかる日までにサービス提供を開始しなかった場合にはそれ以降契約を終了できるようにすることにより、サービス提供の遅れから生じる長引く不確定性からみずからを保護したいと思うかもしれない(4.5【4.5 ロングストップデート】2参照)。3.3.3と本ガイダンスの他の部分で述べたように解約は最終手段である。

 

4.1.5 当局は、サービス提供の早期開始という問題、および当局がサービスの早期提供を承認し報償を与えるべきかどうかについてもまた、考慮すべきである(【4.6 ボーナス支払参照】)。

 

4.2 損害賠償金

 

1 これは例えば当局の資産が事業者により使用されたケースである

2 第2章(契約期間)脚注1も参照

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION