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● 公共部門と契約を締結する当事者は特別目的会社であり、特別目的会社は自分自身に代わって実際に仕事を行う下請け業者を有していること。

● プロジェクトには、なんらかの開発や建設といった段階が含まれており、その後に完全なサービス提供が行われる実施段階が続くこと。

● プロジェクトは、その全体もしくは一部がリミテッドリコースファイナンスにより、資金調達されること。

 

1.1.7 これらの前提条件は、二つの理由から、諸々の問題を適正に位置付けるために作られた。この理由とは、まず大半のPFIプロジェクトが現在上記のような形になっていること、第二にこうした契約の構造が本質的に資本金で全ての資金調達を行うような場合に比べて複雑であり、そうした状況においてガイダンスが特に必要とされているということである。したがって、このガイダンスはあるファイナンス・ストラクチャーが他のものよりも本質的に優れているということを裏付けようとしているのではない。コスト、複雑さとリスクのトレードオフを含む各種ストラクチャーの適合性は入札者の提案に対する総合評価の一部となる。どのような形態のファイナンス・ストラクチャーが最も適切かについては、特別目的会社が必要とされるかどうかを含むそのような評価が行われる以前に結論が下されることはない。

 

1.1.8 詳細部分が個別のファイナンシャル・ストラクチャーに適応できるようになっていれば、基本原則の大半は不変でなくてはならない。たとえば入札は出資金によってのみ資金調達される場合も事業者が工事完了後(これについては、文中の数カ所で言及されている)にリミテッド・リコースファイナンスを導入しようとする場合においてもそれは同様である。しかしながら、官民両部門はその後の資金再調達が混乱なしに行われるよう確実を期するために、プロジェクトがいかに構築されるべきかを慎重に検討すべきである。解約時の補償とリファイナンス(第20章中途解約及び14.6リファイナンスを参照)の方法と共に、このガイダンスでは様々な形式のファイナンスが公共部門に最大のVFMをもたらすような方法でプロジェクトに用いられることを奨励している。

 

1.1.9 すべてのプロジェクトは、包括的なガイダンスでは提示されない、独特の問題を生起させるだろう。たとえば、公共部門の当事者が中央政府の部局でない(たとえばロンドン地下鉄トラストやNHSトラストなど)場合、さらに検討が加えられる。大蔵省タスクフォースは、『官民協力プログラム(4Ps=the Public, Private Partnerships Programme)』に関連して、地方自治体の諸問題に関する具体的なガイダンスを作成する予定である。その中では、『1997年地方自治体資金調達法(the Local Authority Capital finance regulations 1997)』やその他地方自治体の資金調達に関わる義務や制定法上の義務に関連してこのガイダンスに記載されている事項について詳述する。NHSは独自のガイダンスを作成しそれをこのガイダンスと一貫性をもつように定期的にアップデートしていく予定である。防衛省もまた、大蔵省タスクフォースと協議しながら、このガイダンスを補足するための具体的なガイダンスを準備する予定である。最後に、大蔵省タスクフォースはCCTAと共同して、このガイダンスをいかにITプロジェクトに適用するかについて出版する予定である。

 

 

 

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