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1. はじめに

 

1.1 目的

 

1.1.1 このガイダンスは、PFIプロジェクトにおいて発生しうる多種多様な重要問題に対する合理的な対処方法について詳細に説明することにある。本ガイダンスでは、かかる諸問題を契約書でどのように取り扱うかについて解説する。その方法は商業ベースで実現可能であり、かつ公共部門の調達者が必要とする条件を満たし、かつ最良のVFM(value for money)を得られるものでなければならない。

 

1.1.2 このガイダンスは、官民両部門における、広範囲におよぶ協議の集大成である。コンセンサスが得られた問題は多数ある。コンセンサスが得られなかった問題については、PFI案件の契約当事者全員にとり魅力的な事業として成立するために必要不可欠な要素をすべて含むよう、中間的アプローチがこのガイダンスに記載されている。

 

1.1.3 このガイダンスの目的は三つに大別される。まず挙げられるのは、標準的なPFIプロジェクトがどんなリスクを包含しているかにつき、共通の理解を推進するという目的である。第二に、類似するプロジェクトのすべてに、アプローチの整合性と価格の整合性を与えるという目的がある。第三には、交渉にかかる時間と費用を削減するために、長期にわたる交渉を経ず標準的アプローチに従うことのできる範囲について、官民両サイドが合意できるようにするという目的が挙げられる。

 

1.1.4 問題の中には、一様な取り扱いが不可能なものもある。このガイダンスでは、そうした問題にも一様な解決方法を適用しようと努めることよりも、早い段階でそうした問題に注意を傾注することを奨励している。

 

1.1.5 このガイダンスは、ユーザーにとってできるだけ使いやすいものになるよう、“平易な英語”が用いられている。また、契約書草稿は文中で詳述されている問題が、どのように取り扱われたかを明確にするように起草されている。むろん、たとえ標準的な草稿であっても契約の特性が示されるようにまとめ上げられなくてはならないだろうし、標準的な草稿がまったく無修正で丸ごと契約書の中に移し替えられるのは希だということは広く一般に認められている。こうした理由と、PFI契約には複雑な問題が多いという理由のために、公共部門が適正なアドバイザーを任命すること、およびガイダンスをうまく活用することが不可欠である。また、公共部門とそのアドバイザーとが、各官庁内のプライベートファイナンスユニットおよび大蔵省タスクフォースと継続的に協力していくこともまた重要である。このガイダンスは、プロジェクト中の諸問題のすべてを完全に検討するに十分ではありえないが、適正に使用されれば、必ず役に立つものである。

 

1.1.6 ガイダンスと契約書草稿になんらかの前後関係を与えるために、別途の記載がないかぎり、ガイダンスは、以下に挙げるような多数の前提条件にもとづいている。

 

 

 

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