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1.1.10 この文書中で概説された各種のアプローチは、パッケージとして検討されることが重要である。その目的は、バランスの取れた契約構成を実現するために、どのようなアプローチも単独ではなく、すべての問題との関わりにおいて考慮されるべきである。公共部門も民間部門も、現行の多種多様な契約の中からもっとも好ましい立場を選択し、それをこのガイダンスに結びつけようすることは、けっして試みるべきではない。

 

1.1.11 いくつかの部門では、入札者やその資金提供者が受け入れられる標準的な契約条項を過去の交渉を通じてすでに確立しており、そうしたものについてはほとんど交渉せずに用いることが可能である。それゆえ、このガイダンスはすでに合意された立場を崩そうとするものではない。全体のアプローチをこのガイダンスで述べられる原則と整合性を持たせようとすることに利点がるのであれば、このガイダンスの内容はその妨げになるものではない。しかし、これは問題を"慎重に選ぶ"口実だと解釈されるべきではならない。

 

1.1.12 『契約の基本的諸条件(Basic contractual terms)』や『続・契約に関わる諸問題(Furthercontractual Issues)』、『持分権の譲渡可能性』などの刊行物に記載されている各種アプローチや契約条件と矛盾がある場合はこのガイダンスの内容を優先する。

 

1.1.13 セクターやプロジェクトのみに適用される独自の問題については、この文書では言及されていない問題(例えば、土地に関する問題)もある。計画立案は、PFIに関するガイダンスの脚注で取り扱う予定であり、大蔵省タスクフォースと環境運輸地方省が共同して準備することになっている。ある契約における計画立案に関しては、こうした諸問題を実務家がこのガイダンスが示す基本方針に照らして検討すべきである(たとえば、計画上のリスクは補償事由もしくは免責事由(【5. 遅延】を参照のこと)として処理することが可能であり、プロジェクトの性質によってはその他の方法で処理することも可能である)。

 

1.2 用語

 

1.2.1 このガイダンスでは、サービス提供を購入する、公共部門である当事者は“当局”と称され、その相手方当事者は“事業者”と称される。また、全てのスキームを“プロジェクト”と称す。この時、プロジェクトにおける金銭的利害関係を有するもの全員が言及される時は、“資金提供者”という表現が用いられる。したがって、この“資金提供者”という用語はプロジェクトに関連する全ての種類の資金提供者を指す。このガイダンスの冒頭にあって、これらの定義が記載されているのが【1.3(解釈)】である。これらの定義は、本文においても契約書草案においても用いられている。ある特定の条項に特有の定義は、各当該条項において明示する。草案(特に第20章(中途解約))において“シニアデッド”は1.3.1(定義)示す意味で使われており、本文において”はファイナンス契約書においてシニアレンダーによって提供される資金を指すものとして使用されている。

 

1.2.2 標準契約条項として3つの形態が示されている。まず、あるテーマ全体についての標準的な草稿で、取引の特異性に応じて変更することが可能なガイダンス付の形式である。

 

 

 

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