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3]県内の貿易業者の利用促進による輸出入の増加

長崎県および長崎市は、九州の他県や他の県庁所在地と比較すると、人口規模は中位であるにもかかわらず、県内で消費されるコンテナ貨物量は最も少ない。その一つの要因として、輸入品を取り扱う貿易業者の集積が十分でないため、長崎県内で消費される輸入品は、福岡県を中心とした大手商社や、卸売業者が流通に関わっていることが多く、長崎港を利用することなく、博多・北九州港経由で陸路にて流通するケースが多いといわれている。

現状では、木製の建材や食品・雑貨などを扱う地元貿易業者が輸入を行っているが、これらの貿易業者が直接長崎港を利用するようになれば、県内貿易業者の集積度が高まり、将来的には輸出入の増加が見込まれる。

 

4]観光関連の雑貨等の輸出入

佐世保市には、観光施設として全国的に有名なハウステンボスが立地しており、ここでは観光施設の土産物として、陶磁器製品や雑貨類が販売されている。しかし、これらは、博多港あるいは神戸港で卸され、陸路を利用して流通している。こうした窯業品や雑工業品の輸入についても、今後の観光施設の発展に伴い長崎港を利用した貨物として輸入増加の可能性があると考えられる。

また、長崎市には中華街や洋館群などが立地し、異国情緒あふれる観光地が充実している。こうした観光地においては、中国関連の雑貨・食品や伝統工芸製品、びいどろ等のガラス製品なども販売されているが、これらも現状では大手商社により神戸港で輸入されている。

このように、土産物として販売されている雑貨類の輸入において、長崎港の利用を促進するとともに、販売力の強化を図ることにより輸入貨物の増加に寄与することが期待される。また、品目によっては高付加価値化による輸出も期待できる。

 

5]陶磁器関連の輸出入

窯業については、波佐見町・佐世保市を中心に、最終加工を分担することをにらんだ加工拠点として機能を高めることで、アジアからの窯業関係品の輸入による長崎港利用が想定される。また、波佐見焼を中心とした本県の陶器を高品質化することで、将来的には輸出品として耐えうる製品となることも期待される。

 

(3) 新たな輸出入コンテナ貨物創出のために求められる条件

これまでに述べた「期待される貨物」の貨物量増加を図り、その長崎港利用を促進するために必要と考えられる条件の整理を行う。

 

1]国際分業・連携の推進

国際分業の進展に伴い、輸出入貨物の拡大が期待されるとともに、国際分業に際しては港湾周辺に梱包・検品等を行うスペースの確保が必要であるなど、両者は相互に関連している。

こうしたことから、国際分業にともなう輸出入貨物の拡大を促進するためには、産業政策面で長崎港周辺と海外との間での国際分業の展開を促進するとともに、国際分業に必要な梱包・検品等を行うスペースを港湾周辺に確保するなど、港湾周辺の利用環境を整備することによって、両者の相乗効果による好循環を創出していくことが必要である。

 

 

 

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