日本財団 図書館


(2) 期待される貨物

貿易構造をふまえた長崎県の産業の特徴の分析より、今後長崎県において、輸出入コンテナ貨物の創出につながると期待される貨物は、舶用機器・艤装品などの造船関連工業品、水産品・農産品および加工品、土産物に関係する雑貨などが想定される。以下にこれらの貨物について、関連企業・団体へのヒアリング調査結果等に基づき、想定される輸出入のあり方をとりまとめる。

 

1]造船関連工業品の輸出入

前年度のヒアリング調査において、長崎市の船舶の艤装メーカーが、韓国や台湾、シンガポールから部品を輸入し、それらと艤装ノウハウ、デザインをパッケージにしてアジア諸国の造船所へ輸出するという国際分業の事例がみられた。また、三菱重工業?長崎造船所がヨーロッパから客船建造を受注し、来年度から内装品の輸入が行われる予定である。

このように、本県の基幹産業である造船業に関連した艤装品の輸入に加えて、国際分業の進展等にともなった舶用機器の輸出入の増加が期待される。

これらの貨物については、1999年に開設された韓国航路を活用して、長崎港で直接輸出入を行うよう働きかけることが必要である。

 

2]加工食品およびその原材料の輸出入

長崎県内で生産・消費される貨物量では、その増大に制約が大きいことから、広く全国あるいは海外をマーケットとした商品を取扱うことにより、長崎港で取り扱うコンテナ貨物量を増加させていくことが可能となる。その際には、全国あるいは海外に広く流通チャネルを有していることが条件となる。長崎港周辺でこのような条件に適合する品目としては、ヒアリングで指摘されたように、水産品・農産品をあげることができる。

農産品については、例えば果物を加工したゼリーなどは全国的にも人気の高い加工食品として販売されており、需要拡大が期待できる。これらの原材料は、国産品に加えて、中国をはじめアジア方面からの輸入品が利用されており、ゼリーの国内消費拡大によって原材料の輸入増加が見込まれる。これについては、1999年に開設された韓国航路がすでに一部利用されている。

一方、本県の水産品は、生産量、生産額共に全国的にみて高い割合を占めている。このうち加工品については、えそを原材料とする蒲鉾や干物、からすみなどの伝統的な特産品に加えて、あごだし等新たな加工品も開発・生産されている。また、養殖に必要な稚魚や飼料等の消費もあると考えられ、将来的に輸入原料の利用につながる開発を検討していくことにより、輸入貨物の創出に寄与することが期待される。

また、農産品・水産品とも、高級品として海外で販売可能な商品については、高付加価値化を進めることにより輸出にも寄与することが将来的に見込まれる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION