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3. いかにして意思の疎通を図るか

 

既に述べたように、地域社会の国際化が地方公共団体にもたらす問題は様々である。これに適切に対処するためには諸外国の政治情勢、行政の仕組み、グローバルな環境・資源の保全、地場産業と通商問題、宗教風俗の相違、文化・スポーツ交流などそれぞれの職場・職域で求められる知識・経験も、また、多種多様にわたる。だが、具体的な問題が何であれ、それが国際化関連のものである限り必ず遭遇するのが「如何にして意思の疎通を図るか」という「コミュニケーションの手段・方法」の問題である。日本人同士であれば問題にもならないことであろうが、相手が外国・外国人であるが故に必ずや言語の相違、文化の壁という難問が立ちはだかる。誤解を招く。コミュニケーション・ギャップを生じる。この問題をどのようにして克服するかがすべての職場・職域に共通する基本的な課題である。

報告書 第2の2)「職場・職域で求められている語学力の不足」にみるとおり、現実問題としては、正確を期するための文書作成に始まり、職業的翻訳・通訳の利用、JETプログラム職員への依頼、特定語学に秀でた職員・嘱託の活用、一般職員の外国語による応答から最後は身ぶり手ぶりによる意思表示、日本語での言い放しなど、行政の現場での外国人とのコミュニケーション手段・方法は一様でない。しかし、同時に、在るべき姿としては、報告書 第1の1)、2)の(A)「職員に求められる外国語の能力」等にみるとおり、ほとんどの地方公共団体が「職員がとっさにある程度外国語が使えると便利」と考え、しかも、その便利とされる外国語の第1は英米語のグループで、次いで便利なのが中国語・ブラジル(ポルトガル)語・韓国(朝鮮)語のグループであるとしている。

 

4. どの程度の語学力を身につけるのか

 

職員がある程度これらの言語の何れかでも使えれぱ便利であることは疑う余地がないが、言うは易く行うは難しで、職員の語学的能力を育成することは、本人の適性・時間・経費等の問題もあり、決して容易なことではない。

 

 

 

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