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そのうち全部の指定都市及び9割近くの都道府県並びに3〜4割程度のその他の団体においては、自前の研修施設で自前のカリキュラムを組み国際化関連の研修を行っており、特別区は他の職員研修施設を利用して、単独もしくは共同で、または委託により同様の研修を行っている。

このうち指定都市のほとんどが、新規採用職員に対する初任者研修の中で実施しているのに対し、都道府県及び特別区は係長登用の際の特別研修の中で国際化関連の研修も行っているのが一般的な傾向である。

研修内容としては、都道府県であれ市町村であれ、多少の例外はあるものの、「外国語能力の育成に関するもの」と「異なる風俗習慣・宗教など異文化・価値観の相違とこれに対する理解ないし対処の仕方に関するもの」に重点を置いたものが一般的である。

その他「外国人の人権侵害にならぬよう特に配慮した対応の在り方」「郷土の歴史・日本文化についての再認識」「国際的な取り決め、関係国内法制など仕事に関連するグローバルな基準ないし手続き等についての実務」「環境保護など地方行政に関係ある諸外国の事情、国際的な動きなど」に関するものが見受けられる。

また、都道府県で4割程度、指定都市で6割程度、県庁所在市で8割以上、人口20万以上の市で7割近く、町村で3割程度の団体が、この種の研修のために自治大学校・全国市町村国際文化研修所を利用している。そのほか、特に語学教育について民間の語学学校等への委託研修を行っている団体が、都道府県市町村の別なく、広く見受けられる。

これら集合研修とは別に、国際化に関係ある外務省等国内機関に職員を派遣し、その資質・能力の向上を図るケースが4割程度の都道府県で見られ、同様のケースは指定都市その他の都市、町村においても散見される。

なお、通信教育受講等による職員の自発的な学習・自己啓発に対しこれを援助する形で職員の資質・能力の向上を図っている団体は非常に多く、全部の指定都市、9割近くの都道府県、9割以上の県庁所在市、8割近くの人口20万以上の市、7割近くの特別区においてこの種の援助措置がとられている。

なお、以上のような国際化関連の職員研修を全く行っていないか、または以前は行っていたが現在は行っていない団体が全体の2割程度ある。そのほとんどは「研修受講に職員を割く人的余裕がない」「研修等を行う財政的ゆとりがない」「適切な講師の確保が困難である」から行っていないのであって、「特にこの種の研修等を行う必要性が見あたらない」とする団体は、全体の僅か2パーセント超に過ぎない。

必要性がないとする主な理由は「日常の事務処理にあたって、これまでのところ国際化関連の資質・能力を特に必要とする案件はなかった」ことと「必要があればJETプログラム(国際交流事業)により派遣されているCIR(国際交流員)、ALT(外国語指導助手)、SEA(スポーツ国際交流員)などの助けを借りる」からそれで足りるというものである。

 

 

 

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