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この差は、京浜港の東海地方でのシェアが実際には大きいにも関わらず、計算では名古屋港に貨物が流れる結果となっていることが原因である(後述)。また、阪神港が少ない理由は中国のシェアが関門に流れる計算となるが考えられる。この一致しない理由として考えられるのは、

1] 計算で取り上げた港湾以外での取扱貨物の影響、

2] 実際の船形と計算上の船形との差違による影響、

と思われる。前者は、計算で取り上げた4港湾以外に、アジア航路貨物を取り扱っている港湾があるにも係わらず計算上はそれを無視していることによっている。後者は、名古屋港や関門港ではアジア航路に就航している船形が小さいものが多いにも関わらず、計算上は1,000TEUクラスを仮定していることにより、実際より多くのコンテナを運送可能としていることからくるズレと思われる。計算と実体とのトータル誤差は約10%である。

北米航路では、京浜港・阪神港がやや大き目に計算され、その分、関門港が少な目に計算されている。これもアジア航路の場合と同じ理由が考えられるが北米航路の平均船形を3,000TEUとしたために関門では、現実より港湾キャパシティが少ないと計算している結果と思われる。計算値と実績値とのトータルの誤差は約8%であり、理由1]はアジア航路ほど大きくない。

欧州航路では、京浜港・阪神港が少な目に計算され、名古屋港・関門港が大きめに計算されている。これも、実際は国内の数港に寄港する運行形態であるにも関わらず、国内港湾での寄港は1港に限定しているため、相対的に名古屋や関門は京浜・阪神と比べて便数が実際より大きめに計算されている。このことの影響で、計算では相対的に利便性が実際より高くなっている名古屋港・関門港を荷主が選択する結果となっている。このような影響でトータルの誤差は15%になっている。

以上、モデル計算による各港湾の取扱貨物量による検討を行ったが、計算誤差の理由としては、

1] 実際に運用されている船型のばらつきを取り入れていない影響

2] 実際には複数寄港の便であり港湾間の積載率が計算で利用したものよりも小さい(計算では、全ての積載率を0.7と仮定)かわりに阪神港等では便数が多く配便されている。しかし、モデルでは直行便および1港寄港便と限定されており、計算便数は実体より小さくなっていることの影響

3] 商取引習慣で特定港湾を固定的に利用している影響

がモデルでは考慮されていない、等が考えられる。

 

(2) 国内港湾背後圏からみた再現性の検討

コンテナ貨物流動調査では、航路別貨物の港湾背後圏が不明であるので、トータル貨物の港湾背後圏について検討し、航路別貨物の港湾背後圏は計算結果のみを示す。

図表III-2-41(調査結果)、図表III-2-42(計算結果)は京浜港・名古屋港・阪神港・関門港の四大湾における背後圏を集計したものである。

 

 

 

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