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3. モデルの再現性の検討

 

本節では、わが国の外貿港湾の都道府県別背後圏を検討するために、先に示した港湾ネットワーク均衡モデルを用いて、図表III-2-36に示したわが国外貿港湾の内、東京湾、伊勢湾、大阪湾、関門を取り上げて計算を実施する。国外の港湾は、釜山港、上海港、香港(台湾の基隆、高雄を含む)、シンガポール、北米、欧州とした。以下、この分析に際して設定した前提条件を整理する。

 

(1) 前提条件

前章で述べたモデル化の前提以外に、以下の仮定を設ける。

1] 日本の港湾は、図表III-2-36に示すように、苫小牧、新潟、京浜(東京+横浜)、清水、京阪(神戸+大阪)、関門の6港が主要外貿コンテナ取扱港湾と考えられるが、計算では、計算機容量の関係から、東京湾(京浜)、伊勢湾(名古屋)、大阪湾(阪神)、北九州(関門)とする。

2] 海外のゾーンは、北米、欧州、アジアとし、その他の航路はこれらの航路に比較して貨物量が少ないため、計算から除外する。また、各海外ゾーンの港湾は代表港湾が1港あるものとする。

3] 北米・欧州の港湾は便数を受け入れる十分な施設があるとする。

4] 海外港湾と国内港湾には直行便および1港寄港便が就航する。ただし、日本の港湾での2港寄港は許さないとする。

5] 日本の各都道府県別輸出入コンテナ貨物の内、上記航路の貨物のみを対象にする。

 

4. モデルの現象再現性の検討

 

ここでは、港湾取扱貨物量の再現性、および、日本の荷主の港湾選択行動が実際の挙動とどの程度合致しているかを検討することによって、モデルの現象再現性をチェックする。

 

(1) 国内港湾取扱貨物量からみた再現性の検討

図表III-2-37に国内港湾の全航路合計取扱貨物量および港湾シェアを、また、図表III-2-38〜図表III-2-40に各航路別に、輸出入貨物合計の各港湾取扱貨物量についての計算結果と調査結果とをそれぞれ示す。調査結果は平成5年度(1993年11月)に実施された純流動1カ月調査結果である。図表III-2-38はアジア航路、図表III-2-39は北米航路、図表III-2-40は欧州航路である。

図表III-2-37の全航路の合計を見てみると、各港湾の取扱貨物量は極めて良い精度で再現できている。しかし、航路別に詳細に検討すると誤算がキャンセルし合っていることがわかる。すなわち、アジア航路では、京浜港・阪神港の取扱量が少なめに計算され、名古屋港・関門港がやや多めに計算されている。

 

 

 

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