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台湾にもキューネ・アンド・ナーゲル、フリッツといった欧米の代表的なフォワーダーが参入しており、フォワーダーサービスで主導的な役割を果たしているようである。

しかし、台湾系のフォワーダーのなかには、世界の国際物流市場で欧米フォワーダーに対抗できるほどの規模の企業はない。台湾ではフォワーダー事業が登録制とされており、500〜600社が存在している。最大規模のフォワーダーでも従業員100人程度で、総合的なサービスを提供している企業は少なく、航空貨物や特定方面等の限られた分野に特化している場合が多いという。

台湾でフォワーダー事業があまり発展していない理由としては、サービス産業保護の観点から外資フォワーダー企業の進出を認めてこなかったことがあげられる。現在も外資企業のフォワーダー事業への参入は、航空貨物のみ認められ、海上貨物については制約が課されているとの指摘もある。

第二に、フォワーダー事業を行っている企業の多くが、代理店事業を兼業していることがあげられる。特定船社の総代理店という立場から、自由に船社を選択して最適な物流サービスを提供するフォワーダー事業に力を注ぎにくかったようである。

第三に、フォワーダーが利用運送する実運送業者であるトラック輸送、倉庫業等の物流産業があまり発展していないことである。一般荷主を対象とする物流業者はごく少なく、その物流サービスの水準も低いものであった。このため、新規に参入した外資企業を始めとする高水準の物流サービスを求める荷主企業は、いきおい自家用輸送に依存せざるをえなかった。

しかしながら、台湾政府が外資に対する規制緩和を進めるなか、外資フォワーダー事業者や外資船社が営業を拡大しようとしている。また国内物流業者も、外国の物流業者との提携や指導により、発展し始めている。代理店事業を中心としてきた事業者は、さらに船社との繋がりを強化しようとするものや本格的なフォワーダー事業の展開を進めようとするものも増えている。

 

(3) 多国籍混載(MCC: Multi Country Consolidation)

船社のなかには、中国を含めたアジアのハブとして高雄港を高く評価しているものもある。香港のコンテナ取扱コストが高騰したのに対し、高雄港ではアジア太平洋地域オペレーションセンター構想のもとで効率化が進められているためである。

高雄港をアジアのハブとして利用している船社の特徴的な利用方式として、リレーハブがあげられる。リレーハブは太平洋航路と欧州航路を接続する機能であり、高雄港が両基幹航路の接続基地として位置づけられる。

これをさらに高度化した運航方式としてサイマルテーニャス・リレー(同時リレー)がある。連続する2バースにコンテナ船を同時着岸させ、コンテナヤードに滞留させることなく、本船どおし直接トレーラーでコンテナを積み替える方式である。この方式では、あらかじめコンテナを卸しやすいように本船への積み付けを計算し、2船ともにオンタイムで運航しなければならない。

アジア地域では水平分業が進展し、荷主企業は水平分業に対応した調達物流の方式を採用している。

 

 

 

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