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港湾政策を含む海運政策は、航空行政とともに航政司(Department of Aviation & Navigation)が担当している。交通部では、海運政策の重要性を鑑みて、海運を専門に扱う航政局(Maritime Administration)の設置を検討している。96年12月、行政院は、「航政局成立法案」に原則的に同意し、現在「航指局組織法」修正案が策定されている模様である。主要4港湾(高雄、基隆、台中、花蓮)の整備、運営は、これまで台湾省政府のもとで各港務局があたってきたが、行政機構の簡素化により中央政府が各港務局を直轄する方式に移行した。アジア太平洋オペレーションセンターの中心として重点的な整備が行われる高雄港の場合には、中央政府の役割がより重要であるため、行政機構の簡素化が行われる以前から、交通部が直接的な指導を行えるように高雄港管理委員会を設置してきた。この委員会のもとに港湾民営化と港湾・都市発展調和委員会を設け、高雄港の改革が進められてきた。

 

(3) 高雄港務局(Kaohsiung Harbor Bureau)

前述のとおり、中華民国の行政機構では、中央政府のもとに台湾省と台北、高雄両直轄市が置かれてきた。しかし、これまでも高雄港の管理、運営は、行政区分上、台湾省政府の管轄とされてきた。高雄港が高雄直轄市の管轄ではなく、台湾省によって管理されてきた理由は、高雄港務局の設立時期が関係している。高雄港務局は、1956年に設立されたが、当時は台湾省が台湾全土を管轄していた。1979年に、高雄が台湾省と同等の権限を持つ直轄市に格上げされたが、高雄港務局は旧来どおり台湾省の管轄とされた。

 

図表II-4-5 高雄港務局組織図

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出所:高雄港務局『高雄港』

 

高雄港務局は、行政上、台湾省の建設部の管理下に置かれた。しかしながら、台湾省政府と中央政府の機能は重複しており、実際の行政運営は中央政府の交通部のもとに置かれていた。最近の高雄港の改革は、交通部が設置した高雄港管理委員会のもとで中央政府直轄に近い体制で進められてきた。

 

 

 

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