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年間取扱量は1997年には170万TEUであり、1998年には120万TEU程度と見込まれる(民間ターミナル・オペレーターによると1997年の半分以下に減少の見込み)。この減少の理由は、戡湾ターミナルの供用にある。

BCTOC総裁はMOMAF出身者であり、任期は3年で、1回に限り再任が許されている。したがって実質的な任期は6年である。他に理事2名が置かれている。

KCTAとの間で直接の所有関係はないが、同じ政府100%所有とはいえBCTOCはKCTAよりも政府からの支配は弱い。しかし実際には国とKCTAから二重の規制を受けており、意思決定上の問題があることは否めない(KMIインタビュー)。

コンテナ・ターミナルでの作業員のうち、ガントリークレーン、トランスファークレーン、ストラドルキャリア、フォークリフト等のオペレーションは大半を職員が行い、これらのうち職員によらない一部と固縛作業などは港湾運送労働組合からの派遣労働によっている。

BCTOCの「年間料金収入」と「給与等経費」の差額がKCTAの納付金としての取り分になり、この公式を「ザ・フォーミュラ」と呼んでいる。収入の集計に関しては、本業か兼業かの別なく全額が上記の収入として計算され、若干存在する減価償却費は経費に算入される。もっとも兼業については基本的にターミナル用地の外で行うことはできず、コンテナ関連事業に限られている。納付金から人件費が自動的に控除されるシステムは、効率改善へのインセンティブの面で問題があり、後述の民営化案につながった。

BCTOCの組織上の性格については、以下のコメントをえた。

・ 目標取扱数量などの規定がなく、インセンティブが全くない(KMIインタビュー)。

・ 制度上コスト・パディングを引き起こしている(域内船社インタビュー)。

 

1997年にBCTOCは料金収入300億ウォン(3億米ドル)の中から、KCTAに90億ウォン(7200万米ドル)を納付し、納付率(粗利益率)は約30%であった。この納付率は毎年変化し、5、6年前には45%程であった。1998年の予想料金収入は240億ウォンである。

BCTOCは鉄道事業も運営しているが、これは埠頭内の鉄道駅とオフドックコンテナヤードとの間のものである。オフドックコンテナヤード会社がBCTOCの鉄道システムを利用し、利用料を支払う形態のため、港湾とオフドックコンテナヤードとの間での長距離のドレージがあるとBCTOCの取り分が増加するという矛盾にもつながっている。

オフドックシステムの利用が増加すると、ターミナル・オペレーターのコスト全体としては高コストとなり、料金水準を引き上げざるを得なくなる。しかし船社は料金について敏感であり、ターミナル・オペレーターにとっては苦渋の選択となる面がある(BCTOCインタビュー)。

MOMAFは約3年ほど前から国有ターミナル・オペレーターの民営化計画をもち、その中心がBCTOCであった。財政上の事情が高まった1997年に最低落札価格を示して競争入札を行った。

 

 

 

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