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に関する問題点が一気に吹きだし、米国連邦海事委員会(FMC)による邦人定航3社に対する提訴・課徴金措置に至った。

 

(2) 港湾運用の改善

1997年4月に最初に策定された政府の物流ビジョンである総合物流施策大綱では、関係省庁間の縦割りを排して、港湾関連のコストおよびサービス水準を国際的に遜色ない水準にするための数値目標がかかげられ、行動計画の定期的見直しの形態での物流改善も一応のスタートをみている。

わが国の港湾をめぐる問題については、徐々にではあるが改善が進んでいるものの、依然として多くの未解決な問題点を抱えている。

わが国の港湾は、原則として日曜・年末年始は不稼動であり、コンテナ・ヤードのゲート・オープン時間は、8:30〜12:00と13:00〜16:00に限られている等の制約がある。このなかで、1991年以来中断していた日曜荷役については、阪神・淡路大震災への緊急対応が契機となって1995年から再開された。しかしこれまでのところ、緊急避難的な利用にとどまり、神戸港を除き日曜荷役件数自体は少ない。とりわけ現行の港湾労働者の勤務シフトでは早朝時間帯がカバーできない。

日曜・夜間荷役の原則禁止は、わが国の港湾のサービス水準を低下させている。現行の超過料金については批判も多いところであるが、供給者側に24時間、日曜荷役実施に向かうためのインセンティブを提供するという意味で、移行措置としての評価は可能である。現在でも清水港等日曜を含めて24時間荷役に制限のない港湾、あるいは名古屋港のように本船荷役時間とゲート・オープン時間が長く設定された港湾があり、こうした競争を一層促進すると同時に、同一港湾のターミナル間でも生じさせてゆく必要がある。また、通関時間に制約をもうけざるをえないとしても、内航船を対象とした24時間化は可能なはずである。

 水先規制についても神戸港を皮切りに見直しが行われ、総トン300トン以上であった強制水先の範囲が大阪港同等の1万トン以上に改められた。そもそも港湾計画の中には、強制水先区域外側に埠頭新設を計画したものが多い。ある港湾ではきわめてわずかな距離だけ強制水先区域を外してコンテナバースを新設し、またもともと決まっていた強制水先区域に応じて、同一埠頭内でバース毎に異なった扱いをしている。水先規制の必要性自体は疑いないとしても、港湾計画全体の中で安全規制をバランスよく位置付ける必要がある。上記の追加的投資コストまで含めると、仮に水先範囲が過剰であった場合のコストは、水先料負担による港費の増加にとどまらない可能性がある。

 

(3) 港湾管理者の港湾料金のあり方

港湾管理者の設定する港湾料金については、例えば係留施設使用料では、1963年以来八大港(東京、川崎、横浜、名古屋、大阪、神戸、下関、北九州)統一料金が設定されてきた。このように形式的にせよ港湾間競争を排した場合、稼動率の低い施設を建設しても、これまでは(独占力のある)

 

 

 

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