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3) 他の東アジア諸国の貨物

さらに7]、8]、9]の類型であるが、これらの貨物類型は当該港湾からもっとも遠隔地に存在する貨物である。そして貨物の流れは、外−外取り扱い、すなわち、当該港湾の直接の後背地の荷主にほとんど何の関係もない貨物であり、したがって当該荷主に直接のメリットのある貨物取扱いではない。とりわけ類型9]の貨物は、当該港湾において外−外取り扱いで素通りするだけの貨物であり、もっとも当該地域経済の振興には縁遠い存在である。類型6]と同様に、船社(コンテナ・ターミナル・オペレーター)やフォワーダーにとっては、貨物取扱量が増えるという意味においてのみメリットがあると言える。ただし類型7]、8]の貨物については、類型1]、2]、4]、5]の貨物と混載・仕分けをする仕組みを作ること、すなわち、日本国内発着のLCL貨物と外国発着のLCL貨物を国内のコンテナ港湾で混載する仕組みを作ること(いわゆる[多国籍混載]=Multi Country Consolidation=MCC)によって地場中小荷主のLCL貨物をより扱いやすくなることにつながるのならば、当該地域経済への寄与度は結果として高いものとなる。つまりコンテナ貨物の諸類型に応じて、どの類型のコンテナ貨物を取り扱えるか、あるいはどの類型のコンテナ貨物の取り扱いに競争力を持っているのかという形で、コンテナ港湾の競争力は複数、存在することになる。

 

3. 日本港湾をめぐる港湾間関係

 

(1) 日本国内における港湾間関係と港湾の「競争力」

ここでは日本国内における五大港(神戸、横浜、東京、名古屋、大阪)と地方港との関係の変化を、地方港のコンテナ港湾としての台頭の実態とその諸要因という形で見てみよう。

1) 地方コンテナ港湾の台頭状況

 

図表I-4-7 地方港のコンテナ貨物取扱量の増加と地方港取扱比率の上昇

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(注) ここで地方港とは五大港以外の港湾のことを意味する。したがってしばしば「三大湾」=東京湾、伊勢湾、大阪湾という形で分類される際に、その中に含まれる四日市港等の港湾や地方港の中で比較的大きな北九州港、博多港、清水港等の港湾も地方港の中に分類されている。

出所:運輸省港湾局資料より作成

 

1] 地方港におけるコンテナ貨物取扱量の急増

地方港の国際海上コンテナ貨物の取扱量の推移を見てみると(図表I-4-7)、80年代に入って増加が顕著になっている。輸出量が80年の68万トンから95年の1,102万トンへとおよそ16倍に、輸入量は同じく63万トンから1,067万トンへ17倍へと過去16年間で急激に増加している。

 

 

 

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