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特に最近は輸入量の急増が目覚ましい。これは85年以降、コンテナ輸送に適している製品・食料品類の輸入が、円高の定着とあいまって他の東アジア域内諸国から地方港経由でも行なわれ始めている結果であると考えられる。

2] 地方圏の五大港依存度の低下

五大港のシェアの低下が各地方圏におけるコンテナ貨物の流動状況にどのように反映しているのかを、大蔵省関税局他が行っている『コンテナ貨物流動調査』を利用して調査時期ごとに時系列で比較してみよう。

 

図表I-4-8 輸出コンテナ貨物の五大港依存度

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図表I-4-9 輸入コンテナ貨物の五大港依存度

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(注) どちらも1カ月調査。沖縄の数値は急激な増減は1県という狭い範囲でなおかつ1カ月という短い期間での調査であることからくるものである。

出所:図表I-4-1に同じ。p.107

 

輸出(図表I-4-8)は、総じて五大港への依存度は低下しつつあるが、各地方圏ごとでばらつきが見られる。すなわち、東北、北陸、四国の五大港依存度はそれほど低下していないのに対して、北海道、九州、中国はほぼ傾向的に低下している。特に五大港から見て最も遠隔地に当たる九州、北海道の低下は著しい。

輸入(図表I-4-9)でも東北、四国を除いた地方圏では五大港依存度が低下しており、特に85年調査以降、かなり明確に低下傾向が見られる。その中でも、輸出と同様に遠隔地である北海道と九州における依存度の低下が著しい。

つまり地方圏貨物の五大港依存度の低下は各地方圏の地元港の利用度の上昇、いわば国際物流活動の地元化によってもたらされていると言える。

次にこのようなコンテナ物流活動の地方展開をもたらしている要因について検討を加えていこう。

 

2) 地方分散の背景

一般的傾向としてコンテナ物流活動は空間的に集積する傾向がある。コンテナ物流に関連する諸業界においても集積のメリットが働くからである。実際、日本の国際海上コンテナ貨物の取扱量のおよそ9割が、神戸、横浜、東京、名古屋、大阪という、いわゆる「五大港」に集中している。

 

 

 

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