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第二に大荷主およびインランド・デポを持つ貨物取扱業者である。これらの業者は港頭地区に実質上、港湾物流サービスの質的集積が不十分なコンテナ港湾に代わって、内陸部でこれらサービスの供給を肩代わりしているからである。

(b) サービス重視型FCL貨物

サービス重視型FCL貨物の集荷競争力には、まず航路のあり方およびコンテナ船の寄港頻度の高さが大きな影響を与えるため、船社が競争力の担い手の1つである。さらに梱包・開梱業者、コンテナ・バンニング、デバンニングを行う業者などの港頭地区の外国貨物取扱業者も競争力の重要な担い手になる。

(c) サービス重視型LCL貨物

この貨物については船社と梱包・開梱業者、コンテナ・バンニング、デバンニングを行う業者に加えて混載業者の存在が必要である。

 

(3) コンテナ貨物の諸類型と地域経済

ここで上記のコンテナ貨物の各類型と地域産業の振興とのかかわりを見てみよう。

1) 国内の直接の後背地貨物

まず前出の図表I-4-6の、1]、2]、3]の類型であるが、これらの貨物類型は直接の後背地にその物流需要を発生させるものであるため、これらの貨物類型を取り扱うことは当該港湾の直接の後背地の経済振興にもっとも密接に関連するものである。類型3]の貨物についてはこの類型の貨物を集めることのできない港湾はコンテナ港湾として存在しえないため、競争力の有無や競争力のあり方についての議論とは、とりあえず関係のないものである。問題は類型1]、2]の貨物である。これら2つの類型の貨物を集荷できるかどうかが当該港湾がコンテナ港湾として直接の後背地の経済振興に寄与しているかどうかを決定する最大のポイントである。とりわけ類型1]の貨物は地場中小企業の貨物が多いため、当該地域の経済振興への寄与度が最大のものである。ただし混載・仕分けが必要なLCL貨物であるため、集荷のための特殊な仕組み、例えばLCL貨物をコンテナ1本に仕立てる仕組みや多頻度輸送あるいはハイ・スピード輸送等の仕組みが必要とされる。

 

2) 国内の遠隔地貨物

類型4]、5]、6]の貨物については、これらの貨物のうち、類型6]は、物流業者にとっては集荷量の増大という意味で重要であるが、港湾物流サービスの高度化には寄与しないし後背地産業にとっては直接プラスの影響はないものである。これに対して類型4]、5]は、類型1]、2]と混載が可能な貨物であるため、当該コンテナ港湾の港湾物流サービス機能の集積に寄与するものである。

 

 

 

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