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1] サービス重視型貨物

まずサービス重視型貨物とは、輸送スケジュールが正確に守られなければならないか、輸送頻度が高いか、あるいは港頭地区において梱包・バンニング(開梱・デバンニング)が必要なFCL貨物および港頭地区において混載・仕分けが必要なLCL貨物である。例えば、生鮮品や季節物の衣類、あるいは生産工程管理の厳しい部品や在庫時間の短縮化が必要な家電製品などである。

サービス重視型貨物は、貨物需要の発生地点の遠近・国内外に応じて、当該港湾の直接の後背地に存在するもの(1]、2])、当該港湾から遠隔地に存在するもの(4]、5])、他の東アジア地域に存在するもの(7]、8])にさらに分けられる。

2] コスト重視型貨物

次にコスト重視型貨物とは、港頭地区において、バンニング、デバンニング、混載、仕分け等の特別な取り扱いを必要としない貨物で輸送スケジュールが比較的ルーズな貨物である。このタイプの貨物は全てFCL貨物で、やはり貨物需要の発生地点の地理的区分から3]、6]、9]に分類される。

 

2) コンテナ貨物類型に応じた諸競争力と物流関連業者

1] コンテナ貨物類型に応じた競争力のあり方

(a) コスト重視型貨物を集荷する際の競争力の源泉

コスト重視型貨物は、少なくとも港頭地区において港湾物流サービスの質的充実を必要としないため、競争力の源泉は基本的に近接性=より荷主に近くて当該荷主が必要とするコンテナ航路を持つ港湾が競争力を持つことになる。この場合、コンテナ航路は必ずしも荷主が貨物を輸出入する外国港湾と直結する必要はない。外国港湾でのトランシップによっても荷主の要求は満たされるからである。

(b) サービス重視型FCL貨物を集荷する際の競争力の源泉

サービス重視型FCL貨物を集荷するためには、当該コンテナ港湾の航路網の充実=複数の航路、とりわけ欧米トランク・ルート(基幹航路)と近海フィーダー・ルート(支線航路)の両方を持っていることと、それぞれの航路におけるコンテナ船の寄港頻度の高いこと、あるいは梱包・開梱やコンテナ・バンニング、デバンニングが正確・円滑に行えることが競争力の源泉となる。

サービス重視型LCL貨物を集荷する際の競争力の源泉

(c) サービス重視型LCL貨物を集荷する場合は、サービス重視型FCL貨物を集荷できる要因である航路網の充実あるいは寄港頻度の高さに加えて、混載・仕分け等の業務の当該コンテナ港湾における集積が競争力の源泉となる。この競争力は、しばしば近接性のメリットを凌駕するため、遠隔地貨物の集荷が可能となる。

2] 港湾の競争力を支える「物流関連」業者

次に上記の3つのタイプの貨物の集荷を行う際の競争力を担う「物流関連」業者を見てみよう。

(a) コスト重視型貨物

このタイプの貨物を集荷する際の競争力の主体は、まず第一にコンテナ船社である。コンテナ船社がコンテナ船を当該港湾に寄港させなければコンテナ港湾として機能しないからである。

 

 

 

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