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太平洋市場がこれらの市場の変化に追随するのかどうかも、今後関心をもって見守る必要がある。その場合、今後は、従来にも増して、グローバル・マネジメントの視点が要請されるであろう。

一方、戦略面に目を転ずれば、コンテナ船社の水平的統合戦略は、太平洋東航市場を除いて、他の市場ではすべて好ましい成果を生んでいると評価できる。アライアンスの形成に代表されるこのような水平的統合戦略がもつ意味は大きいといわざるを得ない。

しかし、このような水平的統合の利点を認めた上で、なお問題にすべき点は、この戦略に対置される垂直的統合戦略の効果がほとんどすべての市場において好ましくない成果を生んでいることである。水平的統合というハード面の戦略が軌道に乗った後には、従来の発想を越えて、垂直的統合戦略をどのように再構築するかが大きな課題となるであろう。

 

図表I-2-9 市場の運賃決定機構と産業組織の比較

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4. グローバル・マネジメントとコンテナ船業の機能展望

 

3節の考察では、三大コンテナ船市場の産業組織がそれぞれ分離独立していると見てきた。したがって、東航と西航という往復市場が考察の対象に選ばれ、その中で、どのような行動の相違が見られるのかを追究してきたのである。このような地域分散的マネジメントを仮定することが、同盟や航路協定といった地域市場にベースを置くコンテナ船業の制度やシステムに合致するものと見られるからである。

 

 

 

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