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この類型は、ロジスティクス全般というよりも運賃を中心とした業務の管理に重点を置いており、運賃債権が独立して取引される米国ならではの事業である。しかし、日本的な感覚ではTPLの範疇に含めがたい類型と思われる。

Africk et al.(1994)では、アセット型(Asset-based)とノンアセット型(Management-based)の他に、両者の折衷型であるハイブリッド型(Hybrid)を指摘している。ハイブリッド型は、アセット型事業者の子会社として特定プロジェクトのために設置される場合で、子会社としては資産を保有しないが親会社の資産を優先的に使用するという特徴を持つ。

このようにみてみると、いずれの類型においてもアセット型とノンアセット型が基本となっており、両区分の境界領域をさらに細分した類型が示されている。以下ではアセット型とノンアセット型の特徴をみてみよう。

 

2) 各類型の特徴

どのような類型が優れているか、しばしば議論されている。アセット型の長所としては、繁忙期でも確実に利用ができ、トラックや倉庫などの資産も顧客向け専用にカスタマイズすることができることがあげられる。また資産の利用の仕方や実務面に精通し、改善効果をあげやすいこと、中間業者が介在しないことから改善効果を直接荷主に還元できることなどがあげられる。

しかし、利用可能性を高めるために特定顧客専用とする場合には、自家用と利用効率があまり変わらなくなってしまう問題点がある。この点についてAfrick et al.(1994)は、専用キャパシティ(capacity-dedicated)と専用資産(assets-dedicated)を区別すべきと注意している。前者は利用可能性のみを特定顧客向けに保証する方式であるのに対し、後者は一定の資産を特定顧客の専用とする方式である。後者では例えば、帰り荷の積み取りができず効率が落ちるがいつでも利用できる。一方前者はその逆となる。すなわちリスクと効率のトレード・オフに注意する必要がある。

一方、ノンアセット型TPLの場合には、資産を保有しない分、自社資産の利用にとらわれずに、より柔軟なサービスを提供できる。自社資産が遊休化する問題も発生しないため、利用トラックや倉庫の削減を含めて大胆な物流効率化を提案することができる。情報システムを中心に顧客毎にカスタマイズされたシステムを提供できることを売り物にする事業者も多い。ただし、ノンアセット型TPL事業者は、好況続きで情報技術者が確保しづらくなっており、市販ソフトウェアのカスタマイズやミドルウェアの制作に力を入れるようになっている。また国際物流や国内の調達物流など、特定分野における管理能力に優れたニッチ型企業が多いのも特徴である。

その反面、信頼性を疑問視する向きもある。ノンアセット型の場合には、他社のサービスを利用運送したり、借庫することになるが、十分に管理監督する能力があるのか、あるいは繁忙期にも確実に利用できるのか不安が残る。また、プロジェクトが失敗したり、倒産した場合には、資産が少ないだけに賠償責任を果たせるかという問題もある。

 

 

 

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